セグメント別では、特に主力となる制御機器事業(IAB)が好調で、全地域で売上高伸長を達成した。コロナ禍からの回復傾向を鮮明に示した。山田氏は「全地域でコロナ前の水準を超える見通しだ。日本は回復まで少し時間がかかると見ていたが、日本もデマンドが強まってきている。リスクはあるが需要の底堅い状況は当面続く」と見通しについて語っている。
さらに、IABが好調な要因として山田氏は「ソリューション中心のビジネスモデルへと転換を図ってきたことが着実に成果につながっている」と強調した。同社では制御機器の単品販売ではなく、顧客の課題解決につながるソリューション提案を強化。課題解決をより容易に実現するため、製品を組み合わせて典型的な実践的アプリケーションを顧客企業と共に数多く構築してきた。取り組み開始時の2017年度は約50個のアプリケーションを用意していたが、2021年度現在でこの数は230個以上となっている。これらの価値を示すように、アプリケーションを活用できる高機能PLCの採用社数は着実に増加。導入が増えるにつれて、アプリケーション採用も含めた売上高成長につなげることができている。「理想的な成長が始まっている」と山田氏は訴える。
また、高成長領域での投資が活発に進んでいることも追い風となった。例えば、自動車業界ではEV(電気自動車)向けの生産設備の投資などが好調である他、デジタル分野では半導体や二次電池関連設備への投資が続いている。また、食品/日用品/医薬品の領域では、包装機械への投資が進んでいる。「これらの成長領域での需要増を粘り強い取り組みで着実につかむことができた。高成長領域における2021年度上期の売上高成長率は39%増となっている」(山田氏)。
これらの好調を受けて2021年度通期見通しも上方修正した。売上高は前回予想比800億円増の7800億円、営業利益は同280億円増の980億円、当期純利益は同175億円増の655億円を予想する。これにより「譲渡した車載機器事業を除いた数値で見ると、売上高と当期純利益は過去最高を更新することになる」(山田氏)としている。
セグメント別では制御機器事業とヘルスケア事業では、過去最高の売上高と営業利益となる見込みだ。山田氏は「高めてきた収益力と変化対応力に、成長力が掛け算として効いてきている」と手応えを強調した。
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