オムロンは2021年1月27日、2021年3月期(2020年度)第3四半期の業績を発表するとともに、業績に大きく貢献する制御機器事業とヘルスケア事業の方向性について説明を行った。中国市場の期待以上の需要増とともに、制御機器事業のソリューションビジネス化、ヘルスケア事業の血圧計需要の増加などの好影響から、2020年度第3四半期(2020年4〜12月)は増益を実現し、通期見通しも上方修正を行っている。
オムロンは2021年1月27日、2021年3月期(2020年度)第3四半期の業績を発表するとともに、業績に大きく貢献する制御機器事業などの方向性について説明を行った。中国市場の期待以上の需要増とともに、制御機器事業のソリューションビジネス化、ヘルスケア事業の血圧計需要の増加などの好影響から、2020年度第3四半期単独(2020年10〜12月)では前年同期比で増収増益を実現し、通期見通しも上方修正を行っている。
オムロンの2020年度第3四半期累積業績(2020年4〜12月)は売上高が前年同期比5.8%減の4696億円と減収となったが、営業利益は同5.8%増の424億円、当期純利益は同4.1%増の339億円となり、増益を実現した。一方で同社が経営指標として重視している売上総利益率は45.6%と過去最高を更新し経営体質の強さを示す結果となった。
オムロン 取締役 執行役員専務 CFOの日戸興史氏は「第3四半期単独(2020年10〜12月)の業績で見ると、制御機器事業、電子部品事業、ヘルスケア事業の3事業部門で増収となり、増収増益を実現できた。第3四半期の好調な事業環境に加え、これまで継続的に進めてきた事業ポートフォリオの入れ替えやソリューションビジネス化などの成果が出た」と語っている。
セグメント別では、世界的な血圧計、体温計などの需要が高まったヘルスケア事業が前年同期比8.4%の増収となり、営業利益でも同5.1%増の169億円となった。また、制御機器事業では、中国の半導体やスマートフォン端末などの生産拡大により、中華圏での2020年10〜12月の売上高が同37%増となり想定を上回る好調を示した。併せて製品単品の販売から顧客の製造現場における課題解決を図るソリューション型のビジネスモデルへと転換を進めてきたことが奏功し、利益率が向上。第3四半期累計でも営業利益は1.2%増の419億円となっている。
これらの第3四半期の好調な業績により、2020年度通期の業績見通しも上方修正する。売上高は前回予想比4.0%増の6450億円、営業利益は同40.0%増の560億円、当期純利益は同66.7%増の400億円を見込む。「第3四半期の好調な事業環境が第4四半期も続く見込みだ。特に制御機器事業とヘルスケア事業の好調は持続すると見ている」と日戸氏は語る。
制御機器事業では、中国での半導体やスマートフォン端末関連の需要が増加しており好調が持続する見通し。また自動車向けでは電気自動車(EV)関連やADAS(先進運転支援システム)関連が好調だという。ガソリン車向けは緩やかに回復すると予測する。ヘルスケア事業では、血圧計がオンライン販売を中心にグローバルで好調を継続する見込みだ。また、コロナ禍および巣ごもり需要により、体温計や体重体組成計なども好調を持続すると予測する。
これらの事業環境の好調とともに、日戸氏が強調したのが、長らく取り組んできた経営体質強化の成果である。オムロンでは、事業競争力につながる「稼ぐ力」を示す経営指標として「売上総利益率」を重視した経営を進めているが、コロナ禍においても適切なオペレーションを推進したことで、過去最高を更新する見通しとなっている。
日戸氏は「10年前の売上総利益率は36.8%だったが、2020年度は45.4%まで高められる見込みだ。固定費と投資のバランスやポートフォリオの最適化などを進めながら成長を加速させてきた成果だといえる。今後も中長期的な企業価値向上につながるように成長サイクルを継続強化していく」と語っている。
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