鹿島建設、日立製作所、H.U.グループホールディングス、九州大学、電通の5者は、新型コロナウイルス感染症の検査結果やワクチン接種履歴を紙やスマートデバイスを使わず、指静脈を活用した公開型生体認証技術PBIを用いて、手ぶらで提示できる新たなデジタルヘルス証明の実現に向けて共同実証を開始したと発表した。
鹿島建設(以下、鹿島)、日立製作所(以下、日立)、H.U.グループホールディングス(以下、H.U.グループ)、九州大学、電通の5者は2021年10月22日、オンラインで会見を開き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査結果やワクチン接種履歴を紙やスマートデバイスを使わず、指静脈を活用した公開型生体認証技術PBI(Public Biometric Infrastructure)を用いて、手ぶらで提示できる新たなデジタルヘルス証明の実現に向けて共同実証を開始したと発表した。今後、オフィスなど建物内での実装に向けた準備を進めるとともに鹿島の建設現場などにおいても共同実証を進めていく予定だ。
既に同年9月27日〜10月6日には、鹿島が所有する「赤坂Kタワー」(東京都港区)において、実証への協力に同意した同社の従業員約25人を対象に、ワクチン接種履歴などの事前登録からCOVID-19の検査の実施、デジタルヘルス証明発行、指静脈認証を用いたオフィス入館までの一連の技術検証を実施している。
この技術検証では、対象となった従業員は全員、H.U.グループのコンシューマー向けPHR(Personal Health Record)アプリ「ウィズウェルネス」をダウンロードする。ワクチン未接種と想定した13人については、H.U.グループの開業医向け業務支援システム「医'sアシスト」を用いて検査予約と医師によるリモートでの事前問診を行う。その後検体を採取してH.U.グループのSRL川崎ラボに搬送し、抗原定量検査とPCR検査を組み合わせた高精度の検査を行い、この検査結果を医師がリモートで判定する。判定に掛かる時間は、検体搬送で25分、SRL川崎ラボでの検査で最短40分に、医師による検査結果判定時間が加わる。判定結果は13人の受検者に送られ、アプリのウィズウェルネスで確認できる。一方、ワクチン接種済みの12人は、ウィズウェルネスからワクチン接種履歴を登録すればよい。
これらアプリに登録されたデジタルヘルス証明(検査結果の陰性証明もしくはワクチン接種履歴)について、参加者の同意の上で、日立の非接触型指静脈認証装置「C-1」を使って指静脈情報を事前登録し、ウィズウェルネスと連携させる。これらのプロセスによって、オフィスの前にある装置に指をかざすだけで、デジタルヘルス証明が認証され、紙やスマートデバイスによる本人確認や証明書を提示しなくても入室できるようになる。
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