流体力学を対象としたトポロジー最適化システムのクラウド版を提供開始CAEニュース

サイバネットシステムは、流体力学を対象としたトポロジー最適化システム「SpaceTOPTIM」のクラウド版の提供を開始した。設計案の検討段階から要件を満たした最適構造を得られるため、その後の設計業務を大幅に効率化する。

» 2021年10月18日 13時00分 公開
[MONOist]

 サイバネットシステムは2021年10月6日、流体力学を対象としたトポロジー最適化システム「SpaceTOPTIM(スペーストプティム)」クラウド版の提供を開始した。これまで困難だった流体分野のトポロジー最適化を可能にするソフトウェアで、京都大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻の生産システム工学研究室との共同研究から生まれた。

 最適化アルゴリズムに京都大学の特許「構造最適化装置、構造最適化方法及び構造最適化プログラム」を用いており、独自性の高い最適構造やアイデアを反映した、空気や液体の流れを制御する機器の設計を支援する。

オブジェクトツリー形式を採用したシステムの画面構成 オブジェクトツリー形式を採用したシステムの画面構成[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム

 従来のトポロジー最適化手法では、作成した最適構造の表面に不自然な凹凸が形成されたり、表面の位置を明確に表現できなかったりなどの課題があり、CADなどで形状を修正する作業が必要だった。

 SpaceTOPTIMは、滑らかな表面を持つ最適構造を直接得られるため、CADでの形状修正が不要となり、流体の流れ計算精度も向上する。また、設計案の検討段階から要件を満たした最適構造を得られることから、その後の設計業務の効率を大幅に高める。

 一般的な熱流体だけでなく、化学種問題や混相流、燃焼、反応など豊富な機能を備えており、C++言語で書かれたCFDオープンソースのソルバーライブラリ集「OpenFOAM」を採用している。

 また、SpaceTOPTIMだけで、設計したい空間の形状データのインポートから、条件設定、計算、結果処理まで一連の作業に対応できる。最適構造をSTL形式で出力し、CADなどで修正することも可能だ。Webブラウザから、クラウド版CAE環境「サイバネットCAEクラウド」を用いて容易に導入できるなど、利便性が高い。

 同社は今後、流体制御に加え、乱流場や熱問題への対応を進めることで、ヒートシンクを含めた熱交換器やダイキャストの金型など、熱対策や熱設計が重要となる製品の開発、設計にもSpaceTOPTIMを適用可能にしていく。

パイプの流路設計解析例 パイプの流路設計解析例[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム

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