デジタル技術の活用有無別に、現在のモノづくり人材の育成や能力開発方針についてまとめた結果をみると、デジタル技術活用企業においては「個々の従業員が当面の仕事をこなすために必要な能力を身につけることを目的に能力開発を行っている」「当面の仕事に必要な能力だけでなく、その能力をもう一段アップできるよう能力開発を行っている」と答えた企業がいずれも3割強だった。一方で、デジタル技術未活用企業では、「人材育成・能力開発について特に方針を定めていない」が、最も多くなっている(図11)。
モノづくり人材の育成や能力開発のために実施している取り組みについては、全ての項目で、デジタル技術活用企業がデジタル技術未活用企業を上回った。また、デジタル技術活用企業とデジタル技術未活用企業では「OFF-JTを実施している」「作業標準書や作業手順書の活用」「自己啓発活動を支援している」において差が大きくなっている(図12)。これらはいずれも通常業務以外に労働者の主体的な学びを後押しする取り組みであることから、デジタル技術活用企業はデジタル技術未活用企業に比べて、業務の中での取り組みだけではなく専用の学びの時間や仕組みを用意し、「主体的な学びを後押しする取り組み」を実施していることが特徴的だといえる。
続いて、近年、特に資源を投入している分野については、デジタル技術活用企業とデジタル技術未活用企業ともに「設備投資の増強」や「作業環境の整備」といった環境面への投資のほか、「採用・人材育成の強化」といったヒトへの投資に積極的に資源投入を行っている。加えて「設備投資の増強」や「採用・人材育成の強化」「人事諸制度(処遇制度や労働時間、休暇制度など)の整備」などの点でデジタル技術活用企業がデジタル技術未活用企業を大きく上回っている(図13)。
これらのモノづくり人材の育成や能力開発の取り組みへの自己評価については、「うまくいっている」との回答は、デジタル技術活用企業が51.9%だったのにに対し、デジタル技術未活用企業では41.3%となっている。一方で、「うまくいっていない」については、デジタル技術活用企業の46.0%に対し、デジタル技術未活用企業では55.8%となっており、デジタル技術活用企業の方がモノづくり人材の育成や能力開発に成功している手応えを感じていることが分かる(図14)。
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