スズキの7月のグローバル生産は、前年同月比15.6%増の26万4152台と6カ月連続のプラスだった。グローバル生産の半数以上を担うインドは、前年がコロナ禍による生産調整で低迷したため同60.5%増と高い伸びを示した。なお、インドはコロナ禍前の2019年も景気低迷で大幅に減産していたこともあり、2019年比でも28%増となった。その結果、海外トータルは前年同月比50.1%増の19万8082台と6カ月連続のプラスを確保。三菱自と並び海外生産では8社の中で最も高い伸びを示した。とはいえ、好調なインドでも8月以降は半導体不足により大規模減産を実施しており、大幅なマイナスが避けられない見通しだ。
海外生産が好調な一方で、国内生産は低迷している。同31.6%減の6万6070台と2カ月連続で減少した。8社では最も大きな減少幅となった。半導体不足で相良工場と湖西工場の稼働を停止したのが響いた。車両の供給不足により国内販売や輸出も前年比2割以上減らした。国内生産も足元での稼働停止が相次いでおり、厳しい状況はしばらく続きそうだ。
マツダの7月のグローバル生産台数は、6月までの好調から一転し、前年同月比20.7%減の8万520台と5カ月ぶりに減少へ転じた。半導体の供給不足により国内外で生産調整を実施したことが主因だ。主力の国内生産は同19.3%減の5万5741台で5カ月ぶりのマイナス。7月の実績としては開示している1979年以降で最少の生産台数だった。半導体不足で防府第1工場の生産を10日間停止した他、中国地方の記録的大雨でも本社工場と防府工場の生産停止を余儀なくされた。
これにより輸出も同14.6%減と低迷した。車種別では、主力の「CX-5」や「マツダ3」が同25%減少した。また、8月も豪雨や中国からの部品供給が滞った影響で生産を停止しており、車両の供給体制が回復するにはまだ時間を要しそうだ。
海外生産も低迷しており、同23.6%減の2万4779台と3カ月連続のマイナスだった。中国は販売減少に合わせて「CX-4」や「マツダ6」の生産を絞った結果、同48.2%減と半減し、5カ月連続のマイナス。タイも需要に応じた生産調整や半導体不足による7日間の稼働停止などで同14.0%減と減少した。メキシコは前年7月にCOVID-19感染拡大や設備のメンテナンスで生産を停止したため2021年7月は同14.4%増となり、日系メーカーの北米拠点で唯一のプラスとなった。
スバルも半導体不足により国内外で生産調整を実施した。前年のコロナ禍に対する反動で4月から大幅増が続いていたものの、7月のグローバル生産台数は前年同月比18.5%減の6万9748台と4カ月ぶりに前年実績を下回った。これは半導体不足に加えて前年7月がすでに生産を回復していたことも影響した。
このうち主力の国内生産は、同22.7%減の4万7514台で4カ月ぶりのマイナス。これに伴い輸出も4カ月ぶりに減少した。海外生産は、同8.0%減の2万2234台と2カ月ぶりの前年割れ。販売台数も、受注は好調ながら車両の供給不足を受けて国内外で減少した。
国によって状況が大きく異なるのが東南アジアだ。ダイハツ工業の7月の海外生産は前年同月比2.6%減の2万8201台と5カ月ぶりに前年実績を下回った。内訳は、インドネシアは前年7月がコロナ禍で低迷していたため同3.9倍と大幅に伸長した一方で、マレーシアはロックダウンに伴う稼働停止で0台となり二極化している。
国内生産は同4.4%減の8万2119台と5カ月ぶりにマイナスへ転じた。半導体不足により「ロッキー」およびトヨタ向けOEM供給の「ライズ」や「タント」「ムーヴキャンバス」などを生産する滋賀第2工場で2日間稼働を停止した影響が出た。その結果、グローバル生産台数は同4.0%減の11万320台と5カ月ぶりに前年実績を下回った。
三菱自も東南アジアの影響を大きく受けている。7月の海外生産は前年同月比50.1%増の4万5095台と5カ月連続のプラス。ダイハツ同様に前年の生産を絞っていたインドネシアが同6倍と急増した。主力のタイも同40.5%増と伸長した。
一方、中国は同48.3%減と伸び悩み、減少幅は日系メーカーの中でも最大だった。国内生産も好調で同53.1%増の2万7476台と、4カ月連続で増加。8社の国内生産では最も高い伸びとなった。半導体不足で生産調整を実施したものの、前年がコロナ禍で低迷したことが大幅な増加につながった。輸出に至っては同11倍と急伸し、国内生産に貢献した。
グローバルでの生産合計は、同51.2%増の7万2571台と4カ月連続で増加し、8社で最大の伸び幅となった。とはいえ、コロナ禍前の2019年7月との比較では4割減というのが実情で、本来の実力とは大きな開きがある。
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