プリンテッドエレクトロニクスで初期デバイス試作、電子部品の共同開発へ組み込み開発ニュース

ダイセルは、プリンテッドエレクトロニクスを用いて、デバイスメーカーと電子部品を共同開発する「共創サービス」を開始した。ダイセルがインクの提供や初期のデバイス試作を担い、その知見を共有することで、開発期間を短縮する。

» 2021年08月26日 08時00分 公開
[MONOist]

 ダイセルは2021年8月19日、プリンテッドエレクトロニクスを用いて、顧客と共に電子部品の開発を進める「共創サービス」を同月より開始したと発表した。

 プリンテッドエレクトロニクスは、印刷によってデバイスを製造する技術。ダイセルは、同技術に適した銀ナノ粒子インク「Picosil」を開発している。

 共創サービスでは、ダイセルはPicosilの提供だけでなく、同技術で初期のデバイス試作を担う。また、デバイスメーカーと共同で、開発における課題を可視化し、ダイセルの印刷パターン形成関連技術や材料の使用方法といった知見を共有する。

キャプション 「共創サービス」の取り組みイメージ 出典:ダイセル
キャプション 「共創サービス」で使用する印刷機および印刷パターン例 出典:ダイセル

 これにより、通常6カ月以上を要する初期検討の期間を1〜2カ月程度に短縮できる。デバイスメーカーと知見を共有することで開発を効率化し、開発期間を従来の3分の1以下に短縮することを目指す。

 なお同サービスでは、産業技術総合研究所(産総研)と提携する。産総研の各種デバイス作製に関する技術力とダイセルのインクに関する知見や材料技術を組み合わせ、さまざまな形状の高導電性パターンを高精度に再現する。産総研との共同研究で得られた知見も活用していく。

 従来の開発工程では、素材メーカーが配線材料などを開発し、デバイスメーカーが配線を設計して形成検討を進めるという形を採っている。そのため、初期検討の段階でデバイスメーカーが試作用印刷装置の選定や条件調整に時間を要すること、材料に関する情報がデバイスメーカーに十分に伝わらないことなどが、開発スケジュールを長期化させる要因となっていた。

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