アリゴリズミックデザインは、形状表現の1つであり、「パラメトリックデザイン」や「ジェネラティブデザイン(ジェネレーティブデザイン)」「コンピューテショナルデザイン」とも呼ばれ、非常に複雑な形状を作り出せることが特徴だ。従来のCADソフトウェアでは点と点を線で結び、押し出すといった作業で形を作り上げるが、アルゴリズミックデザインは形状を作るためのルールを構築することによって形状を作り出す。入力に使うパラメータには、寸法最適化に用いられる高さや幅、さらに穴を開ける際には穴の個数や配列、数式や乱数などさまざまなものを使うことができる。
アルゴリズミックデザインのポイントは、アルゴリズムを用いることにより、入力パラメータを変更するだけで形状の修正をリアルタイムに行えることだ。さらに、金型の抜き勾配や3Dプリンタの造形角度といった製造条件もアルゴリズムに組み込むことができる点もメリットである。
こうして構築したプロセスをランニングシューズの設計に適用した。シューズの機能性を示す目的関数は、クッション性、スムーズな重心移動を実現するライド感、重量の3つとした。シューズの形状表現は厚さや角度、靴底の凹凸の量やその位置など、合計20個のパラメータによって行った。この20個のパラメータと3つの目的関数に関する代理モデルを生成するため、自動化プロセスを用いて、数百通りの乱数を発生、CADデータの生成、シミュレーションを繰り返し行うことにより、数百パターンの学習データを構築した。
CAD生成にかかる時間は、3D CADデータの生成に約5秒、有限要素解析のメッシュおよび境界条件の設定を含めても、全体としては1分以内に完了している。合計で2日間で数百ものパターンを計算し、学習データとしてためることができた。
こうして学習データを生成し、Ishightを使って処理した結果が図4になる。形状パラメータを変更した際に目的関数の変化を定量的に評価でき、どのようなパラメータが機能性を向上させるために重要かも確認することができた。
図5がこれらの検討を基に、クッション性、ライド感、重量の全てについて目標値を満足して完成した製品だ。
今回のプロセスでは、Pythonによる自作コードを使用して複数のソフトウェアのデータを扱っている。「そのため、データ形式が統一されていないなど非常に煩雑な点が多かった。同一プラットフォーム上でシステムを動かすことが今後の課題だと考えている。同一のプラットフォームによって、設計者だけでなくデザインや製造管理など、さまざまな部署間での情報共有もスムーズにできると考えている」(小塚氏)。
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