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» 2021年07月02日 10時00分 公開

人を苦役から解放する物流ロボットの実現へ、PFNとPALの協業が生み出すもの物流のスマート化(2/2 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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処理速度よりも顧客の現場で止まらずに安定して動くことを重視

 デパレタイジングロボット用コントローラーは、深層学習による高精度な認識技術とロボット制御技術により、事前のデータ(マスタデータ)登録なしで多種多様な荷物を認識し、ロボットアームの最適な動作計画を自動生成できる。「デパレタイジングロボットでは1時間当たり何百個といった処理速度に注目が集まりがちだが、PFNとしては顧客の現場で止まらずに安定して動くことを重視している。そこで重要なのがロボットのSI(システムインテグレーション)ではないかと考えている」(比戸氏)。

PFNのデパレタイジングロボット用コントローラーによる段ボール箱の画像認識結果 PFNのデパレタイジングロボット用コントローラーによる段ボール箱の画像認識結果(クリックで拡大) 出典:PFN

 PFNのロボットコントローラーは、オープンな仕様をベースとしており、物流現場にロボットシステムを構築するロボットSIerが自身の高い技術を実装していけるような仕組みを取り入れている。比戸氏は「さまざまなロボットSIerにとって扱いやすいコントローラーになっており、そのオープンな展開を加速すべく立ち上げたのが、PFNロジスティクスパートナープログラムだ。最初のパートナーであるPALを含めて、数年で5〜10社の参加を目指したい」と強調する。

 PFNとPALのデパレタイジングロボットシステムは、2021年夏ごろをめどに現場での活用を示すためのデモンストレーションを披露できるようにする計画だ。一部顧客からの引き合いもあり、受注活動も既に開始している。

「物流業務のデジタル化なくして自動化に進むことは難しい」

 実は、PFNによる今回の物流ソリューション事業への参入は、従来のPFNの事業方針とは少し異なっている。PFNは、FA分野におけるファナックや、自動車分野におけるトヨタ自動車など、1つの業種につき1社の顧客へ技術提供を行うという形で事業展開を進めてきた。

 それに対して今回の物流ソリューション事業への参入は、物流分野でPALのみを顧客とする形で進めるのではなく、PFNが主体となって、PALをはじめとするPFNロジスティクスパートナープログラムと連携して進めていくことになる。「物流分野は関わる企業が多いこともあって、1業種1顧客という形の事業展開にはそぐわない。そこで、自ら物流ソリューションを提供する側になることを決めた」(比戸氏)。

 一方のPALは、物流業界におけるデジタル化や自動化で先進的な取り組みを展開してきた企業として知られる。2000年の創業時は物流現場への派遣業から始まったが、その中で物流現場の労務環境に多くのムダが存在することに気付き、物流業務における労働改善に向けた提案を行うようになった。そして、2006年ごろから、その知見やノウハウを基にした物流センター運営の請負に事業をシフトしている。

 ここから物流現場における苦役をさらに減らすべく、2014年から取り組みを本格化させたのがデジタル化だ。芦田氏は「ロボットの導入による自動化も検討されていたタイミングだったが、それ以前に、紙ベースでの管理や人手作業ばかりという“ど”アナログな現場にロボットは入れられるような状態ではなかった。物流業務のデジタル化なくして、自動化に進むことは難しい」と述べる。

 2017年ごろから物流分野における自動化の議論が本格化する中で、ロボットなどのハードウェアを中心に取り組みを進めている企業も多数出てきている。「これらに対して、当社は物流業務を中心軸に据えて自動化の取り組みを進めている点が異なる。PFNとの協業によって、人と機械の協働による自動化を進めていきたい」(芦田氏)としている。

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