特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2021年06月22日 10時00分 公開

東芝のデジタル生産技術は工場の枠を超え「スマートマニュファクチャリング」へスマートファクトリー(3/3 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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「Meisterシリーズ」はデータモデルでデジタルツインを実現

東芝デジタルソリューションズの岡田俊輔氏 東芝デジタルソリューションズの岡田俊輔氏

 Meisterシリーズについては、東芝デジタルソリューションズ(TDSL) 取締役 ICTソリューション事業部 事業部長の岡田俊輔氏が紹介した。

 Meisterシリーズは、スマートファクトリーの構築に役立つ、工場内でのデータ収集、蓄積、活用を行うための「Meister Factoryシリーズ」と、これらオンプレミスのソリューションのノウハウを集約しクラウドサービスとして提供する「Meister ManufactX」の他、清野氏がスマートマニュファクチュアリングの説明で挙げたO&Mサービスのうち、設備・機器メーカー向けの「Meister RemoteX」、工場・プラント向けの「Meister OperateX」をラインアップしている。

「Meisterシリーズ」のラインアップ 「Meisterシリーズ」のラインアップ(クリックで拡大) 出典:東芝

 Meister Factoryシリーズは、データを収集する「Meister IoT」、収集したデータを蓄積する「Meister DigitalTwin」、データ活用のための「Meister Apps」に分かれる。岡田氏は「Meister Factoryシリーズを使ってモノづくり現場のデジタル化を目指す中で最も重要なのは『デジタルツイン』という概念だ。これはCPSそのものでもあり、現場で起きていることをサイバー空間上できちんと見えるようにするということだ」と語る。

「Meister Factoryシリーズ」の構成 「Meister Factoryシリーズ」の構成(クリックで拡大) 出典:東芝

 そのデジタルツインの構築に用いるのがMeister DigitalTwinである。ERPをはじめとするシステムからのビジネスデータと、現場の装置や機械、センサーから上がってくるファクトデータをデータモデルに格納することを特徴としている。このデータモデルは、東芝の製造業としての知見を基に構築する一方で、インダストリー4.0で規定されているRAMI4.0やISA-95、PSLXなどのグローバル標準に準拠しており、IoTデータ以外の構造化されたビジネスデータや生産管理データなどの取り扱いも可能だ。そして、東芝が開発しオープンソース化済みの、IoTに適した高速かつスケーラブルなデータストアである「GridDB」を用いている。なおGridDBは既にダウンロード数が10万に達する実績があるという。

デジタルツインの構築に用いる「Meister DigitalTwin」の特徴 デジタルツインの構築に用いる「Meister DigitalTwin」の特徴(クリックで拡大) 出典:東芝

 また、データ活用のためのMeister Appsでは、現場作業見える化パッケージやAI画像自動検査パッケージなどを展開している。現場作業見える化パッケージは、TDSLとデンソーが共同開発したもので、スマートフォンを用いて作業者のトラッキングを行える。ハードとソフトを1パッケージにしたサブスクリプションサービスとして提供している。

現場作業見える化パッケージAI画像自動検査パッケージ 「Meister Apps」の現場作業見える化パッケージ(左)とAI画像自動検査パッケージ(右)(クリックで拡大) 出典:東芝

 Meister Factoryシリーズの導入事例としては、東芝デバイス&ストレージの姫路半導体工場(兵庫県太子町)における品質情報のトレーサビリティーや、輸送機器メーカーの工場や工程を横断したトレーサビリティー・データ活用がある。また、クラウドサービス化したMeister ManufactXでは、電子デバイスメーカーの拠点を横断した製造工程の見える化などに採用されている。

 そして「モノづくりからモノづかいまで」(岡田氏)をコンセプトに提供しているのがO&MサービスとなるMeister RemoteXとMeister OperateXである。東芝の40年間にわたるO&M業務ノウハウを生かした「アセット統合データ基盤」を搭載しており、設備・機器メーカーのリモートメンテナンスとユーザーである工場・プラントのオペレーションをつなぐことが可能になっている。

O&Mサービスとなる「Meister RemoteX」と「Meister OperateX」 O&Mサービスとなる「Meister RemoteX」と「Meister OperateX」(クリックで拡大) 出典:東芝

 採用事例としては、Meister RemoteXが神戸製綱所の産業用コンプレッサー保守サービス改革、栗田工業の製品販売からサービスビジネスへの転換、米国の水処理企業であるFresno Countr Waterworks Ditrict 18の水処理プラントの保全業務効率化と水の安全供給などがある。Meister OperateXでは、国内最大の半導体メーカーによるIoT/ビッグデータ活用によるファシリティ管理などを挙げた。

 さらに、これらのO&Mサービスに新たに搭載したのがアセット管理シェルである。アセット管理シェルは、インダストリー4.0で定められたアセットデータ管理の情報モデルであり、システム、マシン、プロダクトなどがフラットに相互につながることを目指して策定されており、その標準化作業には東芝からもキーマンが参画している。

「Meister RemoteX」と「Meister OperateX」にアセット管理シェルを搭載 「Meister RemoteX」と「Meister OperateX」にアセット管理シェルを搭載(クリックで拡大) 出典:東芝
アセット管理シェルとはアセット管理シェルの特徴 アセット管理シェル(左)とその特徴(右)(クリックで拡大) 出典:東芝

 アセット管理シェルは、O&Mの対象となるさまざまなアセットについて、「情報を包括的にまとめる」「異なるメーカーの機器がつながる」「ライフサイクルを通じた管理が可能」「拡張拡大が可能」といった特徴を備えている。Meister RemoteXとMeister OperateXの最新アップデートでは、設備、機器、センサーなどが出す各種アセットデータを、アセット管理シェルを介して、アセット統合データ基盤に自動的にマッピングして取り込めるようになった。「設備・機器メーカーと工場・ブラントのデータをシームレスにつないだO&Mの高度化や最適化を容易に実現できるようになる」(岡田氏)としている。

メーカーと工場をつないだ設備ライフサイクルデータの共有・活用へ メーカーと工場をつないだ設備ライフサイクルデータの共有・活用へ(クリックで拡大) 出典:東芝

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