デジタルツインを実現するCAEの真価
連載
» 2021年06月14日 10時00分 公開

ボルト締め付けトルクと軸力の関係設計者向けCAEを使ったボルト締結部の設計(4)(2/4 ページ)

[高橋良一/RTデザインラボ 代表,MONOist]

ねじ面におけるトルクと軸力の関係(2)

 これから力の釣り合い式を立てて、これを解いてトルクと軸力の関係を導くのですが、反力Vが傾いています。Vを半径方向成分、円周方向成分、軸方向成分に分解する必要があります。

 その前に、ねじ山のフランク角αについて述べます。図6はフランク角αの定義です。αは、ねじ山の軸直角断面で定義されていて、30度です。

フランク角αの定義 図6 フランク角αの定義 [クリックで拡大]

 一方、反力Vはねじ面に垂直なので、図2の右側の図ではリード角βだけ傾いています。Vの力の分解では、βだけ傾いた面である山直角断面で考える必要があります。山直角断面では、フランク角は少しだけ小さくなります。α’で表記します。αとα’の関係を求めておきましょう。

 図7にフランク角の関係を示します。ねじ山の高さH寸法は、軸直角断面と山直角断面で等しいです。右側の図のH tan αとH tan α’の長さを比べます。図7左下の図から次式(式4式5)が成立します。

フランク角の関係 図7 フランク角の関係 [クリックで拡大]
式4 式4
式5 式5

 いよいよ反力Vの分解です。図8の山直角断面で考えます。反力Vは、V cos α’とV sin α’に分解されます。V sin α’は、図2のRと釣り合うことになります。

反力Vの分解(1) 図8 反力Vの分解(1) [クリックで拡大]

 山直角断面で分解したV cos α’を、今度は円周方向接線断面上で分解します(図9)。V cos α’は、V cos α’ cos βとV cos α’ sin βに分解されます。

反力Vの分解(2) 図9 反力Vの分解(2) [クリックで拡大]

 図10に、軸力F、円周方向接線力Uと、摩擦力μthVを分解したμthV cos βとμthV sin βを追記しました。これで役者がそろいました。

力のつり合い 図10 力のつり合い [クリックで拡大]

 軸方向と円周方向の力のつり合い式を立てます(式6式7)。

式6 式6
式7 式7

 式6式7からVを消去して、

式8 式8

となります。

 次に、摩擦角ρ’を式9で定義します。

式9 式9

 すると、先ほどの式8式10のようになり、かなりすっきりとします。

式10 式10

 そして、式10式2に代入すると、ねじ面におけるトルクと軸力の関係が求まります。式11は多くの文献に載っています。

式11 式11

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.