経済産業省は2021年6月4日、半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進する「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめ公開した。本稿では「半導体」「デジタルインフラ」「デジタル産業」の内、「デジタルインフラ」「デジタル産業」についての戦略内容を紹介する。
経済産業省は2021年6月4日、半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進する「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめ公開した。全ての産業の根幹にデジタル産業、デジタルインフラ産業、半導体産業があると位置付けているが、本稿ではその内、「デジタルインフラ」「デジタル産業」についての戦略内容を紹介する。
日本がSociety 5.0を目指す中で、デジタル化の促進は製造業も含むあらゆる産業の課題となっている。その中で急増するデータの処理量や通信量に対応するデジタルインフラの強化が課題だ。「データ」がさまざまな価値の源泉となる中で、デジタルインフラにも「トラスト」「レジリエンス」「グリーン」の3つの観点が求められている。
「トラスト」や「レジリエンス」の観点からは、データ管理における地政学的リスクに対し「データをどこに置き管理するのか」という議論が巻き起こっている。また、国内のデジタルインフラにおいても、データセンターやインターネットエクスチェンジが東京と大阪の2極に集中し、選択できる環境整備が必要となっている。そのため、今後の対応策として、国内におけるデータセンターの強化や最適配置を推進する。データセンターの新規拠点整備を行う他、アジアにおけるデータハブ化を目指す方針だ。
また「グリーン」の観点からは、情報処理量や通信量の増加で電力消費量が増加する中で、これらを抑える技術開発を進める。次世代デジタルインフラ構築に向けたデータセンターやパワー半導体の省エネ化技術の開発を支援する。
さらに、インフラとして5Gシステムの国際展開を推進する。デジタルインフラにおけるベンダー多様化が経済安全保障の観点から注目される中、国内でいち早く商用利用化を進めた「オープンRAN(無線アクセスネットワーク)」の活用を推進。欧米の設置したテスト環境を活用し、日本の事業者と海外企業との連携を進める。
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