ホンダは、先進国トータルで2030年までにEVとFCVの比率を40%に、2035年に80%に引き上げる、グローバルでは2040年にEVとFCVの比率を100%にする。中国も先進国のタイムラインに準ずる。日本は、2030年にHEVを含めて電動車100%とする。これまでの目標では、2030年までに販売の7割弱をHEVやPHEVを含めた電動車にするとしていた。販売台数の50%以上がPHEVとHEVで、FCVとEVは15%程度という計画だった。
投入するEVは、ホンダ自前のプラットフォーム「e:アーキテクチャー」を採用したグローバルモデルと、市場ごとのモデルに分けられる。北米では、GM(General Motors)が主導して開発したバッテリーとプラットフォームのEV2車種をホンダブランドとアキュラブランドで2024年モデルから発売。e:アーキテクチャー採用モデルは北米では2020年代後半に投入する。中国では現地リソースを活用したEVを投入しており、今後5年以内に10車種のホンダブランドのEVを投入する。バッテリーではCATLとの連携を強化する。日本では、2024年に軽自動車タイプのEVを投入する。軽自動車はHEVも含めた電動化を進めていく。日本向けEVのバッテリーは地産地消を目指す。
バッテリーについては全固体電池の実証ラインでの生産に2021年度から着手し2020年代後半のモデルでの採用に向けた開発を加速させる。
三部氏はEVの差別化やホンダらしさの追求についてもコメントした。北米の電動車市場については「今EVを買うのは新しいものに興味がある人だ。そこまで人気だというわけではなく、ハードルは非常に高い。普及には大多数が購入する必要があるが、利便性が問われることになる。2030年の時点でそういったEVを投入できるかどうかでその後の普及が変わってくる。ソフトウェアや車内空間など、今までのクルマにはない新しい価値も必要だ。『ホンダe』はそれを目指した例だと考えてほしい。EVの走りの差別化は難しいが、普通のクルマもスポーティーなモデルも含めてホンダらしさを出していく」と述べた。
就任会見のプレゼンテーションはEVとFCVに焦点を絞っていたが、「特定の技術に決め打ちするつもりはなく、CO2排出をどれだけ下げるかを重視している。今の技術で手の内にあるのはEVとFCVだが、まだ20年あるのでこれから新しい技術ができれば加わるかもしれない」(三部氏)と語った。
化石燃料よりもCO2排出を減らすことができ、内燃機関の活用期間を伸ばす代替燃料については、「四輪車に関しては特殊車両や運転を楽しむクルマで残っていく可能性は十分にあるが、マジョリティになるのはかなり難しいのではないか」(三部氏)とコメント。
「ホンダとしても検討しており、技術として否定するものではない。F1でも代替燃料を使っている。しかし、化石燃料レベルまでコストを下げ、大量生産するのはハードルになる。航空機のようにバッテリーとモーターでは従来と同じ使い方が難しいものについては、代替燃料を取り入れていくのが妥当だ」(同氏)。二輪車も、電動化だけでなくガソリンエンジンの燃費改善やバイオ燃料の活用などにも取り組んでいく。
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