デジタル技術を活用した強靭性や資源効率の向上による健康システムの強化に関連して、2020年下半期のEU議長国であるドイツおよび欧州委員会が主導し、2020年11月11日、「欧州保健データスペース(EHDS)」(関連情報)構想を提唱した。その後欧州委員会は、2020年12月23日、EHDSのロードマップに関する初期インパクト評価を公表しており、2021年第2四半期に公の意見募集を実施した上で、同第4四半期をめどに最終案を採択する予定である(関連情報)。
図2は、EHDSの全体像を示したものである。
業種横断的なフレームワークとして、2020年11月25日に欧州委員会が提案した「欧州データガバナンス法」(関連情報)が設定されている。同法案は、経済社会におけるデータの潜在力を活用するために、以下の4つの軸を掲げている。
その上で、保健、産業/製造、農業、金融、モビリティ、グリーンディール、エネルギー、公的機関、スキルといった業種・業界別データスペースが展開される形態になる。ここで挙げられた業種・業界は、スマートシティーの機能分類とほぼ一致していることが分かる。欧州データガバナンス法は、4P(Public、Private、People、Partnership)モデルを採用したEU域内のスマートシティー(例:都市インフラを活用した健康・ウェルビーイング分野の健康増進プログラム)同士が、多国間/多地域間データ連携を実現するためのフレームワークとして活用できる。
そしてEHDSは、保健データ+デジタルヘルス+保健AIをベースに、以下のようなものから構成されるとしている。
またEHDSでは、保健データの1次利用と2次利用について、図3のように整理している。
縦軸に、保健データの1次利用(よりよいヘルスケア)および2次利用(よりよい政策策定、よりよい研究とイノベーション)を設定し、横軸に、法律/ガバナンス、データ品質、インフラストラクチャ、キャパシティービルディングを設定して、マッピングしている。
なお、EHDSでは、一般データ保護規則(GDPR)順守の観点から、以下のような点について検証を実施している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.