ということで、あらためてERIKA Enterpriseの説明は図6の通りになる。OSEK/VDXへの対応状況は図7で、OSEKの基本的なコンポーネントにはおおむね対応している形だ。
もう少し一般的なERIKA Enterpriseの特性を、Linuxと比較したのが図8と図9である。RTOSとLinuxを比較することそのものがちょっとアレ、という意見はあるかと思うが分かりやすいのも事実だ。
AUTOSARあるいはOSEK/VDXへの配慮が目立つのがユニークではあるが、提供される機能や特徴そのものは一般的なRTOSというのが理解できる。なお、ビルドツールとしてはシステム記述言語仕様であるOIL(OSEK/VDX Implementation Language)をベースにした「RT DRUID」と呼ばれるツールが提供されることになる(図10)。
さて、このERIKA Enterprise、当初サポートしたMCUを順に並べてゆくと、STマイクロの「ST10」、Armの「ARM 7」、日立の「H8」、アルテラの「Nios II」、マイクロチップの「dsPIC」、アトメルの「AVR」、インフィニオンの「TriCore」フリースケールの「S12/PowerPC 5000/MPC5674」、マイクロチップの「PIC24/PIC32」、ラティスの「MICO32」といった具合。そして、最初のメジャーカスタマーとしてイタリアのCobra Automotive Technologiesを獲得する(図11)。
次いで同じくイタリアの大手サプライヤーであるマニエッティ・マレリ(Magneti Marelli)にも採用され(図12)、その後はさまざまな企業からの採用事例が続いている(図13)。ちなみに、現在の主要な(公開できる)顧客リストはWebサイトで公開されており、かなり広範に利用されていることが分かる。
なお、ここまでERIKA EnterpriseとLinuxの比較表もあったが、エンジンやボディーの制御はERIKA Enterpriseが、HMIの処理はLinuxが担うというコンセプトも提案していた(図14)。
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