COVID-19がAI活用の成熟の触媒へ、国内企業のAI活用成熟度に関する調査結果:製造マネジメントニュース
IDC Japanが国内企業のAI活用成熟度に関する調査結果を発表した。2019年の前回調査と比較して、より成熟度が進んでいる層の割合は17.0ポイント上昇したが、最終ステージの割合に大きな変化はなく、最終段階への移行の難しさを示す結果となった。
IDC Japanは2021年3月16日、国内企業のAI(人工知能)活用成熟度に関する調査結果を発表した。
同社は独自基準により、AI活用の成熟度を「ステージ1:個人依存(Ad Hoc)」「ステージ2:限定的導入(Opportunistic)」「ステージ3:標準基盤化(Repeatable)」「ステージ4:定量的管理(Managed)」「ステージ5:継続的革新(Optimized)」の5つのステージで評価した。なお、第2回となる今回の調査結果は、2019年11月に実施した第1回調査との比較を踏まえたものとなる。
今回の調査では、国内企業のAI活用成熟度は、ステージ1が3.5%、ステージ2が34.0%、ステージ3が38.0%、ステージ4が22.9%、ステージ5が1.7%という結果になった。前回調査と比較すると、より成熟度が進んでいるステージ4以上の割合が17.0ポイント上昇した。しかし、最終段階であるステージ5の割合に大きな変化はなく、同ステージへの移行の難しさを示しているという。
国内AI成熟度の比較:2019年と2020年(クリックで拡大) 出典:IDC Japan
また、事業計画にAIの導入戦略を取り入れ、ビジネス価値を獲得し始めている「リーダー企業」と、そうでない「フォロワー企業」とで成熟度の変化を比較した。その結果、リーダー企業は2020年のステージ4以上が57.9%で、前年から43.6ポイント増加しているのに対し、フォロワー企業ではステージ3以下の割合が依然90%以上と高いままだった。
国内AI成熟度のリーダー企業とフォロワー企業のステージ分布の比較:2019年と2020年(クリックで拡大) 出典:IDC Japan
同社では、新型コロナウイルス感染症がAIの成熟を進展させる触媒の1つとなっており、同感染症を商機と捉えて成熟度を向上させる企業とそうでない企業との差が広がっていると見る。そして、企業は長期的な視点でAI投資戦略を再評価し、外部環境に対して柔軟かつスピーディーに対応することが必要だと分析している。
≫「製造マネジメントニュース」のバックナンバー
- AIと機械学習とディープラーニングは何が違うのか
技術開発の進展により加速度的に進化しているAI(人工知能)。このAIという言葉とともに語られているのが、機械学習やディープラーニングだ。AIと機械学習、そしてディープラーニングの違いとは何なのか。
- 世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト
人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。
- 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。
- 製造業がDXを進める前に考えるべき前提条件と3つの戦略
製造業にとっても重要になる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に注目が集まっている。本連載では、このDXに製造業がどのように取り組めばよいか、その戦略について分かりやすく紹介する。第1回の今回は、DXを進める中で必要になる前提条件と3つの戦略の概要について紹介する。
- いまさら聞けない「製造業のDX」
デジタル技術の進歩により現在大きな注目を集めている「DX」。このDXがどういうことで、製造業にとってどういう意味があるのかを5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。
- 製造業が「DX」を推進するための3つのステージ、そのポイントとは?
製造業のデジタル変革(DX)への取り組みが広がりを見せる中、実際に成果を生み出している企業は一部だ。日本の製造業がDXに取り組む中での課題は何なのだろうか。製造業のDXに幅広く携わり、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)のエバンジェリストを務める他2019年12月には著書「デジタルファースト・ソサエティ」を出版した東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター 参事の福本勲氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.