製造業の「稼ぐDX」に向けた戦略を立案するための5つのプロセスサブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代(9)(2/3 ページ)

» 2021年02月26日 10時00分 公開

2.ビジョンを描く

イメージ ※図はイメージです

 モノの売れない時代にいかにハードウェアを売っていくか? というような、既存のビジネスの延長は既に通用しない時代だ。こうした市場の状況を踏まえた上で、ビジョンを明確に描いていくことになる。市場の中でどのような存在となるか、ビジネスを通して何を成し遂げるのか、社会に対してどのような貢献をするのか、中長期的な視点でビジネスの姿を描く。

 近年、顕著に増えているのは、ハードウェアとソフトウェアを完全に切り離して、ソフトウェアによる付加価値で顧客満足度を追求していこうという企業だ。ソフトウェアによって、ハードウェアの陳腐化を防ぐことも、逆に意図的に早めることも可能だ。ハードウェアでもうけにくく、ソフトウェアで高収益が得られるような戦略を仕掛けて市場に存在感を示すこともできる。

 今までハードウェアに搭載されて無償だったソフトウェアを有償化して、利益率を高めていくためには、ソフトウェアによって製品とサービスがどのように進化して、顧客はどのような価値と顧客体験を得られるか、そのビジョンを描くことができるかどうかがビジネスの成功の鍵を握っている。

3.戦略を立案する

イメージ ※図はイメージです

 描いたビジョンを目標として掲げてどのようにして実現させていくのか、ここで戦略に移ることになる。ビジョンを実現させるためには何を行うことが必要で、どのような顧客にどのようなビジネスモデルを実現させるのか、製品とサービスはどのように利用されるものなのかを、具体的な戦略に掘り下げていく。

 例えば、以下のような項目が考えられるだろう。

  • 現在はどのようなソフトウェアの販売をしていて、今後はどのようにして販売していくのか
  • ソフトウェアからどのような顧客体験を提供して価値とするのか
  • ソフトウェアはどのような価格体系にするのか。サブスクリプションなのか、使用量に応じた課金なのか
  • 検討しているビジネスモデルは本当に理にかなったモデルなのか
  • 端末やデバイス単位で課金するのか、利用者数に対して課金するのか
  • ソフトウェアを機能別に分けて、それぞれの機能はどのような価格帯に設定するのか
  • 新しい機能はオプションとしてどのような価格体系で提供するのか
  • ソフトウェアはハードウェアに最初から搭載されているのか、別途入手するのか
  • 顧客はソフトウェアをどこから入手して、機能を有効化するのか
  • 顧客が機能を評価する場合に、どのような手順で評価できるようになるのか
  • ソフトウェアはどのような手順でアップデートするのか
  • オンラインなのかオフラインなのかなど、どのような稼働環境でソフトウェアは利用されるのか
  • どのようなデータをどのように収集して、何を知るために分析していくのか
  • 顧客が購入してからどのようなプロセスを経て注文処理を行うのか
  • ソフトウェアの追加購入やアップグレード、メンテナンス、契約の更新といったプロセスはどのようにして行うのか
  • ソフトウェアの不正使用に対する脅威はどのようなもので、何を守るのか

 主に検討する内容は、ビジネスモデルと運用プロセス、そしてセキュリティがテーマとなる。これらを検討して具体的なビジネスの全体像を構築していく。

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