戦略を立案する際に、現在何が課題でどんな方向で解決させるのか、多くの議論を交わすことになる。検討した戦略は簡単に実現できる内容もあれば、難易度の高いものも含まれているだろう。
戦略を検討した際、実現させるためにハードルとなるものはどういったものか、課題を精査して、コストや収益化のインパクトを算出する。課題を整理することによって、戦略を遂行するための重要度や優先順位が付けられていく。
- 何が課題で、どう解決させることが理想で、何を達成させるのか
- 戦略を実現させるために障害となる課題は何か
- その課題にはどれくらいのコストがかかっているのか
- 解決できない場合にどれくらいのコストや収益インパクトがあるのか
こうした課題を整理するだけではなく、コストと収益のインパクトについて把握することが重要である。
課題の解決や達成したいことを実現するためには何をどうするのか、適用できる手段やテクノロジーについて議論する。
- 課題を解決させるためには、何をどうすべきなのか
- それはどれくらいのコスト削減と収益化に影響するのか
- そのソリューションを実現させるためにはどのくらいの費用が必要なのか
- 導入したことによって、どのような新たなメリットがあるのか
- 導入したことによって、新たな課題は生まれるのか
こうしてソリューションを導き出し、遂行するための重要度や優先順位が明確化されることによって、必要なテクノロジーについても全体像とともにおのずと浮かび上がってくる。
これら5つのプロセスを経て全体の戦略を議論することによって、収益機会を増やし、顧客満足度を向上させ、運用効率を高めてコストの削減を可能にする、「稼ぐDX」プロジェクトのスタートを切ることができるのだ。
長期的な戦略を立てるのは、目の前に直面している問題に対して、即効性のある解決策を導き出すよりもはるかに難しい。どのようにすればソフトウェアビジネスのライフサイクルをうまく機能させることができるのか、全体論から検討を進めてソリューションを導き出すべきだ。何を重要視するのか、どのようなプロセスや課題解決ための作業を外部に委託できるのか、そもそもビジネスモデルは適切なのか、重要視しない工程は何なのか、こういったことがよく分からないまま、技術的な話からボトムアップしていくビジネスの起案になりがちだ。最終的には結局コストだけが肥大化し、使い物にならないシステムが出来上がるような、散々たる結果が待ち構えていることも珍しくない。
長期的なビジョンを描き、そのための戦略を立てることで、必要なテクノロジーが何なのか最短経路で取り組むことができる。そして具体的な収益化への道筋をつけることが可能になる。そのビジョンを示さず、収益化の計画を明確にしないままテクノロジーから先に手を付けてしまうことは、革新を自ら遠ざけているといえるかもしれない。
前田 利幸(まえだ としゆき) タレスDIS CPLジャパン株式会社(日本セーフネット株式会社/ジェムアルト株式会社)ソフトウェアマネタイゼーション事業本部 シニアアプリセールスコンサルタント ビジネス開発部 部長
ソフトウェアビジネスに取り組む企業に対して、マネタイズを実現するためのコンサルティングやトレーニング、ソリューション提案を実施。全国各地で収益化に関するセミナーや講演活動を展開。IoT関連企業でシニアコンサルタントを経て現職。同志社大学 経営学修士(MBA)。二児の父。
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