勘違いは全てのフェーズで発生するため、特定のフェーズに特化したバグではありませんが、以下に注意しましょう。
人の話を聞いていて、「怪しい」と思ったときは、勘違いかもしれません。即座に質問しましょう。特に、「普通は……」「これが当たり前」というワードが出ると危険です。
お互いの意見が異なる場合は、非常に注意してください。どちらかが強い口調で言ってしまうと、間違ったまま最後まで行く可能性があります。冷静にドキュメントや過去のメールを見ながら話しましょう。
変更箇所は当初の記憶のまま話している可能性があります。また、派生品の場合も、機種ごとの差分を混同している可能性があるでしょう。担当者が古い話をし始めたら要注意です。
勘違いの対策は非常に困難ですが、以下を見直してみましょう。
勘違いを防ぐには、人とのコミュニケーションが非常に大切です。ちょっとした会話からその人の勘違いが見つかるかもしれません。テレワークが増えている昨今、しっかりコミュニケーションをとることは難しいでしょうが、自分なりにできることから始めましょう。
お互いの意見がかみ合わない場合は、必ず根拠を基に話をしましょう。例えば、ドキュメントや過去のメールです。しっかり見ながら話し合いましょう。
自分の書いたコードでも、数日たつと他人のコードに見えるように、勘違いを起こしたとしても、数日後に見直すと、勘違いに気付くかもしれません。多忙な状態でも、休息をしっかり取ると勘違いに気付きます。
日常生活でも勘違いが起こるように、ソフトウェアの開発でも、勘違いが原因で致命的なバグを作る場合が少なくありません。
今回は全てのバグの根源となる「勘違い」が原因のバグを紹介しました。ケーススタディーを見て、「こんなことは起きない」と思われた人もたくさんいるでしょう。実際に勘違いをすると、冷静な人からは考えられないことを起こします。皆さんもご注意ください。
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東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)
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