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» 2021年01月19日 10時00分 公開

ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典(16)青海青梅問題もビックリ、勘違いが原因のバグ山浦恒央の“くみこみ”な話(137)(3/3 ページ)

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士),MONOist]
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5.バグ発生の兆候

 勘違いは全てのフェーズで発生するため、特定のフェーズに特化したバグではありませんが、以下に注意しましょう。

5.1 常に疑う

 人の話を聞いていて、「怪しい」と思ったときは、勘違いかもしれません。即座に質問しましょう。特に、「普通は……」「これが当たり前」というワードが出ると危険です。

5.2 お互いの意見が違うとき

 お互いの意見が異なる場合は、非常に注意してください。どちらかが強い口調で言ってしまうと、間違ったまま最後まで行く可能性があります。冷静にドキュメントや過去のメールを見ながら話しましょう。

5.3 変更箇所がある

 変更箇所は当初の記憶のまま話している可能性があります。また、派生品の場合も、機種ごとの差分を混同している可能性があるでしょう。担当者が古い話をし始めたら要注意です。

6.対策

 勘違いの対策は非常に困難ですが、以下を見直してみましょう。

6.1 よく話し合う

 勘違いを防ぐには、人とのコミュニケーションが非常に大切です。ちょっとした会話からその人の勘違いが見つかるかもしれません。テレワークが増えている昨今、しっかりコミュニケーションをとることは難しいでしょうが、自分なりにできることから始めましょう。

6.2 根拠ベースで話をする

 お互いの意見がかみ合わない場合は、必ず根拠を基に話をしましょう。例えば、ドキュメントや過去のメールです。しっかり見ながら話し合いましょう。

6.3 リフレッシュも忘れずに

 自分の書いたコードでも、数日たつと他人のコードに見えるように、勘違いを起こしたとしても、数日後に見直すと、勘違いに気付くかもしれません。多忙な状態でも、休息をしっかり取ると勘違いに気付きます。

7.まとめ

 日常生活でも勘違いが起こるように、ソフトウェアの開発でも、勘違いが原因で致命的なバグを作る場合が少なくありません。

 今回は全てのバグの根源となる「勘違い」が原因のバグを紹介しました。ケーススタディーを見て、「こんなことは起きない」と思われた人もたくさんいるでしょう。実際に勘違いをすると、冷静な人からは考えられないことを起こします。皆さんもご注意ください。

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【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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