東芝は、量子暗号通信システムについて、2020年度第4四半期から同システムのプラットフォーム提供とシステムインテグレーション事業を国内外で順次開始すると発表した。既に、イギリス、アメリカで量子暗号通信システム事業を進めている。
東芝は2020年10月19日、量子暗号通信(QKD)システムについて、2020年度第4四半期から同システムのプラットフォーム提供とシステムインテグレーション事業を国内外で順次開始すると発表した。
同社は既に、情報通信研究機構から実運用環境下における複数拠点間のQKD実証事業を受注している。2020年度第4四半期にQKDシステムを納入し、2021年4月に実証事業を開始する予定だ。同社によると、QKDシステムインテグレーション事業としては、当件が国内初の事業となるという。
また海外でも、BT Groupとの共同実証実験の開始(イギリス)や、Quantum Xchange、Verizon Communicationsのトライアル参加(アメリカ)など、QKDシステム事業を推進している。この他にも、2021年度から欧州やアジア主要国において現地事業者と共に同事業を進めていく。
また、同社ではQKD事業の推進に当たり、データ通信用光ファイバーを共有する「多重化用途向け」と、鍵配送の速度と距離を最大化した「長距離用途向け」の2種類の量子鍵配送プラットフォームを開発した。
今後、量子鍵配送ネットワークを国の内外で構築して、2025年度までには金融機関などを対象に量子鍵配送サービスを本格稼働する予定だ。本格的なサービス提供の前に、2020年度第3四半期から特定ユーザー向けにサービスの提供を開始する。
量子鍵配送サービスは、2035年度の世界市場が約200億ドル(約2.1兆円)と見込まれているが、同社は2030年度の段階で、同サービス市場見込み額の約4分の1相当となる、約30億ドル(約3150億円)の獲得を目指す。
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