タニタがAWSで開発した、顔認証機能を搭載した立会人不要の飲酒検査システム:人工知能ニュース(2/2 ページ)
ALBLOクラウドサービスの顔認証機能では、iPadで撮影した検査対象者の顔画像とクラウド上に登録された検査対象者本人の登録画像を照合して、2枚の顔画像の類似度を判定する。この仕組みを実現するのに用いたのが、AWSの画像認識サービス「Amazon Rekognition」だ。
一般的に顔認証の精度は、別人にもかかわらず本人と誤認識する確率「FAR(他人受け入れ率:False Acceptance Rate)」と、本人であるにもかかわらず他人だと誤認識する確率「FRR(本人拒否率:False Rejection Rate)」の2つの指標で測定する。理屈の上では、FARとFRRの値が両方とも「0」に近づけば近づくほど、顔認証の精度が向上したことになる。しかし、実際にはFARとFRRの値はトレードオフの関係にある。FARの値を下げるために認証基準を厳しくするとFRRが上昇してしまい、反対に、FRRを下げるために認証基準を緩和するとFARが上昇するからだ。このため開発時には、FARとFRRを「0」に近づけるのではなく、定期航空協会が非公開に定めている許容値の範囲内に収めることを目標にした。
FARとFRRのイメージ図[クリックして拡大]出典:タニタ
画像認識の精度検証には、20人をさまざまな角度から撮影して得た生画像データと、その20人とは異なる人物を撮影して得た1万243枚の顔画像データセットを用いた。これらをAmazon Rekognition上で比較して、両画像の類似度を0〜100までの1点刻みで算出。類似度別にFRRとFARを計測して、定期航空協会の基準値を満たせる類似度の範囲を特定した。この範囲内でAmazon Rekognitionの閾値設定を行うことで、検査基準に合致する顔認証機能が開発できたという。
認識精度の検証実施イメージ[クリックして拡大]出典:タニタ
AWSを活用した開発について、アクティア 代表取締役の北野幸雄氏は「AWSのサービスはさまざまな機能を、使いたいときに即座に使用できるのが強みだ。顔認証機能の開発時にもAmazon Rekognitionをすぐに使えたので、プロトタイプ開発までのプロセスを速やかに実行できた。また、使用料金が明確化されているので、将来的な事業変化に合わせたプラットフォーム成長などの事業計画が立てやすい」と振り返った。
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