東京ポートシティ竹芝には共用のロボットだけでなく、ビルの入居店舗が直接運用するロボットもいる。それが、ローソン東京ポートシティ竹芝店で稼働する、Telexistenceが開発した半自立型遠隔操作ロボット「Model-T」だ。
Model-Tは真空吸引とグリップの両方に対応したロボットハンド「Andrea-Yamaura End Effector」を搭載している。これによって商品の種類や形状に合わせて最適な力でピッキングして、店舗のバックヤードから什器(じゅうき)に配置できる。主にペットボトルや紙パックなど飲料商品の陳列作業を担当する。Model-Tの操作はポートシティ竹芝のビル外に配置された人員が遠隔で行う仕組みだ。
ローソン 開発本部 東京開発部 法人担当 アシスタントマネジャーの松本志穂氏は「コンビニ業務全体の中で商品陳列の作業量は7%を占めている。この作業をModel-Tで半自動化することで、従業員は接客の質向上などにリソースを回せるようになる」と説明する。
なお、同店舗はTelexistenceの子会社がローソンとFC(フランチャイズ)契約を締結し、直接的に店舗運営を行っている。これについて、TelexistenceでCookpit Operation Managerを務める小林伴之氏は「ロボットベンダーなどであれば、ロボット、ロボットサービスの導入店舗に機体をリース契約で提供することも多い。しかし、当社はロボット開発企業として、直接的に現場の声を収集して今後の開発に生かしていく必要があると考えた。経営を当社自身が行うことでリスクも生じるが、実施の価値は十分にあると考えた」と語った。
これらのロボットに加えて、館内の各フロアにはビル利用者の利便性を向上させるためのデジタル技術が実装されている。一例を挙げると、オフィスロビーには日本コンピュータビジョン(JCV)が開発した顔認証ゲート装置と三菱電機の開発したエレベーター内の混雑緩和を促進する「ELE-NAVI(エレナビ)」を連携させたエレベーターシステムを採用している。これによって利用者は、入館証などを使わずタッチレスでゲートを通過できる他、混雑度合いの少ないエレベーターを案内してもらい搭乗できる。また、顔認証ゲート装置にはサーモグラフィー機能を搭載しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としても活用可能だ。
この他、ビル館内の全飲食店舗にはAIカメラを配置しており、入店者の数などを自動で集計する。これによって店内の混雑度合いを測定し、オフィスロビーに設置されたモニターや専用のスマートフォンアプリなどで表示することで、利用者が店を訪問する前に空き状況を確認できる。
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