Eggs 'n Things Japanは2020年7月27日、東京都内で記者会見を開催し、AIアバターが顧客との対話を通じて一般的なレジ業務を遂行する「AIアバターレジ」を、AIスタートアップのウェルヴィルと共同開発したと発表した。会見ではバッテリーレスのBluetoothタグ技術を活用したカスタマートラッキング技術なども紹介した。
カジュアルなハワイアンレストランを展開するEggs 'n Things Japan(エッグスンシングスジャパン)は2020年7月27日、東京都内で記者会見を開催し、AI(人工知能)アバターが顧客との対話を通じて一般的なレジ業務を遂行する「AIアバターレジ」を開発したことを発表した。AIスタートアップのウェルヴィルと共同開発を行った。会見ではバッテリーレスのBluetoothタグ技術を活用したカスタマートラッキング技術なども併せて紹介した。
Eggs 'n Things Japan 代表取締役の松田公太氏は、現在、外食産業ではAIやIoT(モノのインターネット)、RPA(Robotic Process Automation)などを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上が急務になっていると強調する。その理由を大まかに分けると、顧客が外食産業に寄せる食へのニーズが多様化したこと、また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって非接触の接客ニーズが高まっていることの2点が挙げられる。これらの課題に対してデジタルツールを導入することで、顧客の趣味嗜好を把握する、店員と顧客の間でオーダーや会計などを非接触で済ませるといった形で解決を図れる可能性がある。
松田氏は「外食産業ではAI、IoT、RPAなどのデジタルツールの導入が接客のホスピタリティ低下を招くのではないかという懸念も根強い。一方で、当社では『Customer Along Service(CAS)』というコンセプトの基、単に業務自動化や効率化だけを目指すのではなく、顧客の体験価値(CX)向上を目指したDXの取り組みを進めている」と語る。
こうしたDXの取り組み成果の1つが、今回発表したAIアバターレジである。AIアバターレジは店内に設置したディスプレイ上にAIアバターが表示されて、顧客との会話を通じて、商品注文や会計などの一般的なレジ業務を店員の代わりに行うというサービスだ。
具体的な利用の流れは次の通り。まずディスプレイ前に顧客が立つと、AIアバターがあいさつをしてから来店人数を確認し、その後、注文を受け付けるモードとなる。注文受付時には商品メニューからメニュー名を指定して伝えるだけでなく、「卵料理が食べたい」などとリクエストすることも可能だ。すると発話内容を認識したAIアバターが「ポーチドエッグのエッグベネディクト、もしくはオムレツはいかがでしょうか」などと提案するので、自分の希望する商品を伝える。こうして注文を済ませると、AIアバターが合計金額の提示や決済方法の確認などを行った後、座席の案内を行う。
レジ業務を省人化することで店舗業務の効率化につながる他、店員との接触機会を減らせるためCOVID-19の感染対策として役立つ可能性もある。また注文を受けると同時にキッチンへの調理指示なども行うなど、業務効率化の範囲はレジ業務にとどまらない。
AIアバターレジの特徴的な点として、ウェルヴィルが独自開発した「AI対話機能」を搭載した点が挙げられる。ウェルヴィル 最高技術責任者の樽井俊行氏は「客の発話や質問をしっかりと聞いて、意味的に分解して理解した上で、ふさわしい回答をアバターの声として表現する仕組みを構築した。客が具体的な商品名などを言わずに、例えば『ほうれん草とベーコンのやつ』などと曖昧発話した場合も、前後の文脈から意味を推測して『ほうれん草とベーコンのオムレツでよろしいでしょうか』と対応できる点が特徴だ。主語が明確でない質問に対しても、正確に意味を読み取って適切な返答ができる」と説明する。
AIアバターレジについては、2020年10月にEggs 'n Things Japanの店舗で実証実験を実施する予定である。
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