マカフィーが2020年の事業戦略を説明。従来の「デバイスからクラウドまでの保護」に加えて、「クラウドネイティブでオープンな統合セキュリティの提供」を戦略に追加し、企業のクラウド移行に対応可能なセキュリティソリューションの展開に注力する方針だ。
マカフィーは2020年5月13日、オンラインで会見を開き、2020年の事業戦略を説明した。従来の「デバイスからクラウドまでの保護」に加えて、「クラウドネイティブでオープンな統合セキュリティの提供」を戦略に追加し、企業のクラウド移行に対応可能なセキュリティソリューションの展開に注力する方針だ。
同社 社長の田中辰夫氏は「2019年は全四半期で目標を達成し、過去最高業績を記録した。けん引したのはクラウドセキュリティ関連だ」と述べる。実際に、国内企業のクラウド採用は加速しており、これまでクラウドで扱うことにためらいがあった機密データを保存するようになっている。実に企業の79%(国内は85%)が機密データをクラウドに保存し、クラウド内のファイルの26%に機密データが含まれているという。
そして、近年のサイバー攻撃による脅威キャンペーントップ10のうち5件が、クラウドそのものではなく、クラウドとデバイス、クラウドとクラウドの間をつなぐ、クラウドアプリやWebコントロールの脆弱性を突くものだったという。田中氏は「クラウドだけでなく、デバイスやネットワークなどにもセキュリティ対策が必要になる」と指摘する。
マカフィーの「MVISION」は、これらのトレンドにいち早く対応するセキュリティソリューションとしてラインアップを充実させている。MVISIONは、クラウド向けが中心の「MVISION Cloud」とデバイス向けが中心の「MVISON Device」、AI活用でサイバー攻撃への分析や対策を行う「MVISON Insights」、クラウドベースの統合管理プラットフォームの「MVISON ePO」から構成される。
中でも、MVISION Cloudは進化を加速させている。従来のクラウドセキュリティはCASB(Cloud Access Security Broker)が中心だったが、これに加えてデバイスのWeb接続を守るSWG(Secure Web Gateway)や、DockerやKubernestesなどのコンテナのセキュリティに至るまで幅広くカバーするようになった。
田中氏は「2019年にガートナーが定義した、デバイスやユーザーの場所に依存しないセキュリティ提供の仕組み『SASE(Secure Access Service Edge、サシー)』が注目を集めている。2024年には40%の企業がSASEをセキュリティ戦略に採用するといわれている」と強調。その上で、MVISION Cloudのうち「MVISION UCE(Unified Cloud Edge)」は、SASEフレームワークを踏襲する有効なソリューションと訴えた。また、2020年3月に買収を完了したLight Point Securityにより、2020年後半にはMVISION UCEにWeb分離機能が加わるという。
またMVISON Deviceについても、既存のエンドポイントセキュリティ対策として採用されてきたEPP(Endpoint Protection Platform)と、新技術としてセキュリティベンダー各社が取り組みを進めるEDR(Endpoint Detection & Response)の両方を展開するマカフィーに強みがあるとした。「EDRに負荷が集中しないように、EPPで脅威をしっかり検出する必要がある。各社がEDRに注力しているが、運用負荷が高いこともあって導入が進んでいないという話もある。当社は、マネージドサービスを提供するパートナーとともに着実に取り組みを推進したい」(田中氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.