マカフィーが2019年の事業戦略を説明。同年1月末に代表取締役社長に就任した田中辰夫氏は「当社のセキュリティソリューションは、全世界で6億台強のデバイスを守っている。この規模を基に、デバイスからクラウドを包括的に保護し、法人向けに加えて個人向けの事業展開も強化して行く」と語った。
マカフィーは2019年4月18日、東京都内で会見を開き、2019年の事業戦略を説明した。同年1月末に同社の代表取締役社長に就任した田中辰夫氏は「当社のセキュリティソリューションは、全世界で6億台強のデバイスを守っている。セキュリティベンダーとして最も多いであろうと自負するこの規模を基に、デバイスからクラウドを包括的に保護し、法人向けに加えて個人向けの事業展開も強化して行く」と語った。
2018年の振り返りとしては、セキュリティベンダー各社のEDR(Endpoint Detection and Response)開発への注力や、CASB(Cloud Access Security Broker、キャスビー)の市場浸透の進展を挙げた。また、代表的なサイバーインシデントとして、仮想通貨マイニングマルウェアが1年間で4467%に増加し、IoT(モノのインターネット)機器を狙ったマルウェアも1年間で203%まで増加したという。
2019年の事業戦略の基となる市場動向としては、機密データの保存先の9割がSaaSやIaaS、PaaSといったクラウドになっていること、IoT市場が成長を続けていることを重視。「クラウドに機密データがある以上攻撃者もクラウドを狙う。年間平均成長率13.3%で成長し、2023年には12兆円規模になる国内IoT市場も攻撃者の的になり得る」(田中氏)という。
クラウドについては、2018年に買収したSkyhigh NetworksのCASBソリューションを中核とする「MVISION Cloud」の提案をさらに強化して行く考えだ。田中氏は「MVISION Cloudはユーザー負荷ゼロといえる導入の容易さが特徴。また、2019年中盤以降には次世代型EDRとなる『MVISION EDR』を投入しエンドポイントへの脅威対策も進めていく」と述べる。
2018年の注力分野「新たなビジネスドメインへの展開」の1つとして挙げてきた、IoT/OT(制御技術)については2019年も引き続き注力していく。田中氏が競合他社との差別化ポイントに挙げたのが「グローバルのノウハウがつまったプロフェッショナルサービス部門」(同氏)によるコンサルティングなどだ。「IoTやOTと関わるセキュリティを顧客の現場に導入していく場合、ソリューションや関連の技術などを入れていく前に、体制や人の整備が必要だ。プロフェッショナルサービス部門には、顧客の現場の人々やIT担当部署の協力を得ながら、そういった整備を進められるIoTやOTに特化したチームがいる。それが競合他社との最大の差別化要因になるだろう」(マカフィー セールスエンジニアリング本部 サイバー戦略室 シニアセキュリティアドバイザー CISSPの佐々木弘志氏)としている。
マカフィーは、法人向けの製品群について、マカフィーのタグラインである「Together is power」で展開してきた。今回の会見では、個人向けの製品群について「Protect what matters(大切なものを守る)」をメッセージとし、PC、モバイル、家庭用IoT機器を守っていく方針を示した。
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