富士経済は、画像処理システムの世界市場に関する調査結果をまとめた「2019 画像処理システム市場の現状と将来展望」を発表した。省人化や本格的なデジタル化、深層学習の活用などで市場が拡大し、2022年には1兆5024億円に達すると予測する。
富士経済は2020年3月17日、画像処理システムの世界市場に関する調査結果をまとめた「2019 画像処理システム市場の現状と将来展望」を発表した。同調査は、2019年9〜12月に実施。企業や団体へのヒアリング、関連文献、同社データベースから分析した。
同社では、2019年の画像処理システムの世界市場を、2018年比5.2%減となる1兆2836億円と見込んでいる。これは、米中貿易摩擦が想定以上に長期深刻化したためで、主要な画像処理装置やカメラ、基板実装などの検査アプリケーションで縮小するとみられる。
エリア別で見ると、日本は2018年比1.7%減にとどまるが、中国は米中貿易摩擦の影響で6.9%減、その他アジアでは設備投資の見送りにより10.5%減と予測。一方、欧州では自動車分野への旺盛な設備投資が見られ、アメリカでは物流分野が好調であることから、欧米の縮小は限定的としている。
今後は、自動車、食品、薬品、化粧品関連分野において、省人化システムやスマートフォンベースの画像処理システム、ディープラーニングを用いた外観検査ビジネスなどでニーズが高まり、2022年には2018年比10.9%増の1兆5024億円まで拡大すると予測している。
注目されるのが、スマートフォンにモジュール式のパーツやアプリケーションを付加して画像センサーやコードリーダーとして使用する「スマートフォン活用画像センサー」だ。eコマースの拡大もあり、同市場は、2022年には2018年比55.6%増の14億円となる見込みだ。
その他、食品の安全に対するニーズが高まっていること、食品関連の事故が起こった際は、SNSなどで情報が早期に拡散することなどを受け、食品メーカーで「食品用X線検査装置」の導入が進んでいる。国内外で拡大する同市場の2022年予測は390億円だ。
高精度の3次元画像解析ができる「共焦点レーザー顕微鏡」市場は、電子部品の微細化、自動車部品の高性能化に伴い、2022年予測は110億円。「ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェア」は、多くの作業員を必要とする目視検査の省人化に向けて、世界中の工場で導入が進み市場が拡大。2022年には2018年比6.6倍の204億円に達すると予想している。
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