村田製作所は、同社の代表取締役社長に現代表取締役 専務執行役員 モジュール事業本部 本部長の中島規巨(なかじま・のりお)氏が就任する人事を決めた。現在、代表取締役会長と社長を兼任する村田恒夫氏は、代表取締役会長に専念する。創業家以外から同社の社長に就任するのは今回が初めて。
村田製作所は2020年3月13日、同日開催した取締役会において、同社の代表取締役社長に現代表取締役 専務執行役員 モジュール事業本部 本部長の中島規巨(なかじま・のりお)氏が就任する人事を決めたと発表した。現在、代表取締役会長と社長を兼任する村田恒夫氏は、代表取締役会長に専念する。2020年6月下旬開催予定の定時株主総会と取締役会の決議で正式決定する。
中島氏は1961年9月生まれの58歳。同志社大学工学部を卒業後の1985年4月、村田製作所に入社。1988年10月に福井村田製作所、1991年7月〜1992年12月に積層コンデンサーや多層モジュール商品の共同開発先であるフランスのLCC-Thomsonに出向するなどした後、2006年7月にモジュール事業本部 通信モジュール商品事業部 事業部長に就任した。2010年7月に執行役員、2012年6月にモジュール事業本部 本部長、2013年6月に取締役常務執行役員などを歴任。2015年7月に通信・センサ事業本部 本部長とエネルギー事業統括部 統括部長に就任した後、2017年4月にモジュール事業本部 本部長に戻り、同年6月から代表取締役専務執行役員を務めている。座右の銘は、日清食品創業者である安藤百福氏の言葉から、「発明はひらめきから。ひらめきは執念から。執念なきものに発明はない」。
新社長就任に当たり中島氏は「5Gや自動車の進化によりエレクトロニクス市場にも大きな変化が訪れる中、新社長として先頭に立ってチャレンジしていけることに大きな責任とともに湧き立つ想いを感じている。ステークホルダーの皆さまの期待に応えていくには、将来のビジネス機会を見据えた独創的な技術・製品開発にしっかり取り組めるとともに、多様な社会的責任を果たしていける、変化に柔軟に対応できる組織作りが重要だ。『エレクトロニクス産業のイノベーションを主導していく存在でありたい』という思いを込めた『Innovator in Electronics』の実践に向けてこれからも尽力していく」と語っている。
また、今後の村田製作所の目指す姿として「『部品を売る』という従来のビジネスモデルにこだわらず、ソリューションビジネスといった、将来のポートフォリオの中核になりうる新しい領域をどのように育てていくかも重要だと考えている」(中島氏)という。
2007年から社長を務めてきた村田氏は、社長交代の理由について「エレクトロニクス市場は5Gや自動車の電装化により新たな成長ステージに入ることが期待されている。今後も変化の激しい市場環境が続くことが予想される中、フレッシュな感覚で対応できる人物がよりふさわしいと考え、世代交代を図る意味も含めて、指名諮問委員会の審議をへた上で社長交代を決めた。また、高まる社会的責任を果たしていくためにはガバナンス強化がより重要になってきている。会長職に専念して俯瞰的に経営に関わることで、社内のガバナンス体制強化を図りたい」と述べている。
なお、村田製作所の社長は、創業者の村田昭氏以降、2代目は昭氏長男の泰隆氏、3代目は同三男の恒夫氏が務めてきた。中島氏は、創業家以外から初の社長就任となる。
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