流体解析ツール「ANSYS Fluent」の強化ポイントについては、作業性や処理能力の向上、高度な物理モデルの追加などを挙げている。
まず、解析のプリ処理(前処理)に関しては、「Quick property view」を追加し、解析対象のグラフィックスをシングルクリックするだけで、代表的な境界値の入力が行えるようになった。
平面作成ツールについても使い勝手が向上した。ハンドル操作の改善、軸方向へのドラッグや各方向へ制限された回転や移動、原点ドラッグなどをサポート。動的な表示の更新にも対応した。レンダリング処理の機能では、環境変数を用いて、反射や影、グラウンドプレーンといった効果を有効化できるようになった。
メッシュ生成技術は、非構造メッシュを中心に改善。並列計算時の高速化や、大規模モデルの処理を強化した。また、「Fault Tolerant Meshing ワークフロー」に対応し、穴や欠落部、重複、不要なサーフェスなどが発生したCADデータから高品質なメッシュデータを生成できる。
メッシュ生成時の計算速度については、1コアでの計算と比較して、64コアの並列計算を用いて10倍になるとの計測結果を示した。また旧バージョンの「2019 R3」と比較して、15倍の高速化を達成したとしている。メッシュ品質も同時に向上しているとことだ。
物理モデルとしては、新たに「遷移流れ(Regime Transition)」を追加。これは、気液対向流れのフォローレジームの変化(混在)の解析に用いるモデルで、自由界面や気泡流の解析が行える。原子炉、石油/ガスのパイプライン、ヒートパイプなどの解析に利用可能だという。さらに、リチウムポリマー電池向けの充放電特性のモデルも追加した。
Fluentは、連成シミュレーションのオープン規格である「Functional Mock-up Interface(FMI)」のFMUファイルの読み込みに対応。バッテリーパックの熱解析での連成に有効だとしている。
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