中国・北東アジア社はまずは、パナソニックにおいて家電などを扱うアプライアンス社と住設機器などを扱うライフソリューションズ社の、中国・北東アジア地域での担当部門を切り出して作った。「中国や北東アジアで売っている製品は他のカンパニーのものもあるが、まずは域内で製品開発などを行う部門を持つところから統合した。域内の売上高である2兆円の内、7000億円分が新会社の担当となる」と語る。
パナソニックでは、家電部門は旧松下電器産業、住設部門は旧松下電工が担っており、アプライアンス社とライフソリューションズ社の間にも壁があると見られているが、本間氏は「新たに中国・北東アジア社を設立する中で最も頭を悩ましたのがこの問題である。新たなカンパニー内の事業部は『スマートライフ家電』『住建空間』『コールドチェーン』『冷熱空調デバイス』『台湾』と5つを設置したが、あえてアプライアンス社とライフソリューションズ社の組織を混ぜ合わせるような形で構成した。働いている人は中国人がほとんどなので、中国が伸びるかどうかが大事。日本人特有の(中国人にとって)奇妙な仕組みや枠組みを乗り越えて協力して伸ばす体制としていていく。戦略的に意義があると数字で示せれば誰も反対しなくなるだろう」と語っている。
また、中国・北東アジア社の役割として、本間氏は2つの役割について述べている。1つ目は「100年企業としてあらゆるところでコストが高くなっている。こうしたコスト構造を変えるのが重要な役割だ。2020年度の製品の一部でこれらの成果を示す」(本間氏)という。
さらにもう1つが「情報機器と家電、住宅が1つに融合する世界を描いており、それを具体的に実現する場として中国を活用するということだ」(本間氏)という。本間氏は「日本ではこうした新しい世界を具体的に想像しにくい。新しい技術を受け入れる力が弱くなっており、失敗に不寛容な世界がある。これが足かせになっている。中国は失敗などがあってもどんどん先に進もうという力があり、これがイノベーションへの原動力となっている」と語る。
「中国で家電の設計なども行ってきたが、日本にいる事業部が日本側の論理で箸の上げ下ろしまで指示する状況だった。これでは、中国の状況やスピード感にはついていくことはできない。新体制では、中国国内で出す製品については基本的には決定権は中国側にあり、相談なしに進めることもできる。当然技術面での協力は進めるものの、中国市場でモノづくりを進めることがパナソニックに従来なかったものを生み出すことにもつながる」と本間氏は新体制の意味について述べている。
その他の、本間氏と報道陣との主な一問一答は次ページの通りである。
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