医療機器サイバーセキュリティ原則草案では、一般原則に続いて、医療機器製造業者向けの市販前考慮事項として、以下のような項目を掲げている。
このうち、「セキュリティ要求事項とアーキテクチャ設計」では、設計原則として、以下の7項目を掲げている。
「リスクマネジメント」では、1)サイバーセキュリティの悪用可能性、2)脆弱性が悪用された場合の患者に及ぶ害の重大度 にフォーカスしたリスク分析を実施すべきだとしている。その上で、以下のようなリスク評価手法を挙げている。
「セキュリティテスト」では、医療機器製造業者向けの考慮事項として、以下の3項目を掲げている。
「市販後管理戦略」では、計画策定の際の考慮事項として、以下の5項目を揚げている。
「表示または利用者セキュリティ文書」では、製造業者による技術文書の例として、次世代自動車向け車載ソフトウェアの設計・開発プロセスなどで利用されている「ソフトウェア部品表(SBOM)」を挙げている点が注目される。
連載第49回で触れたオーストラリア薬品・医薬品行政局(TGA)の「業界向け医療機器サイバーセキュリティ・ガイダンス第1版」(関連情報)では、サイバーセキュリティリスクのモニタリングプロセスにおいて、SBOMの維持を求めている。なおTGAは、SBOMについて、医療機器内部で使用されるソフトウェアコンポーネントの一覧表で、サードパーティーソフトウェア、開発過程が不明なソフトウェア(SOUP)、該当する場合のバージョン番号を含むと記述している。
また、連載第41回で触れた米国FDAの「医療機器のサイバーセキュリティ管理に関わる承認申請手続の内容 - 業界および食品医薬品局スタッフ向けガイダンス草案」(関連情報)や、第43回で触れたカナダ保健省の「ガイダンス文書:医療機器サイバーセキュリティの市販前要求事項」(関連情報)では、「サイバーセキュリティ部品表(CBOM)」という用語が使われている。なお、カナダ保健省は、CBOMについて、脆弱性の影響を受けるまたは受ける可能性がある医療機器に含まれる、商用、オープンソース、汎用のソフトウェアやハードウェアのコンポーネントなどを含む一覧表と記述している。
どちらかといえばクローズな環境で設計・開発・製造を行ってきた製造業にとって、企業組織の枠を超えたSBOMやCBOMの有効活用は、大きな課題となるだろう。
「規制提出要求事項」では、以下の通り、「セキュリティ要求事項とアーキテクチャ設計」から「表示または利用者セキュリティ文書」に至るまでのプロセスで文書化した成果物を提出するよう求めている。
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