これは、OSIにおける第3層ネットワークレイヤーに相当するプロトコルです。データリンクレイヤー(※7)に載ってきたSDUを取り出して扱います。ここでのPDUをIPパケットと呼び、それを扱うものはホストと呼ばれます。IPパケットは、イーサネットフレームのタイプ値が0x0800(IPv4)または0x86DD(IPv6)の際にペイロードとして送り届けられる情報です。
(※7)本記事の文脈ではイーサネットですが、OSIの考え方に従うと必ずしもイーサネットである必要はありません。
IPパケットに含まれるIPアドレスは、そのIPパケットをどこのホスト(※8)に届けるかを示しています。MACアドレスと同様にグローバルアドレスとローカルアドレスがあり、インターネットにつながりIPパケットを扱うもの(ホスト)にはグローバルアドレスを持つことになっています。逆にいうと、家庭内、社内、車載(車内)のような閉じた世界ではローカルアドレスを使うのが一般的です。図5にIPv4アドレスのローカルアドレスを示します。
(※8)もう少し正しく言うと、IPアドレスが割り当てられるのはネットワークインタフェースです。
同じくヘッダ(PCI)とペイロード(SDU)とに分かれています。イーサネットフレーム同様にヘッダ部分には宛先、送信元、内容、ペイロードの種類および送信経路での扱われ方を示す制御情報が入り、ペイロード部分に送り届けたい情報が格納されています。
図6はIPv4パケットのヘッダ構造を示しています。このヘッダに続いてペイロード(データ)部分が続きます。世の中ではすでにIPv6が使われていますが、筆者が知る限り、車載ではいまだにIPv4が主に使われています。図6ではヘッダは4バイトワード×6の24バイトになっていますが、車載では通常Optionsの部分は使われていないため(※9)それが除かれ、20バイトになります(なので図6の中のIHL(Internet Header Length)は「通常5」としています)。
(※9)本記事執筆時点での認識です。
このヘッダには複数の情報が入っていますが、今回Source IP AddressとDestination IP Address以外に重要なのは、”Time to Live”と”Protocol”フィールドです。“Protocol”フィールドは、イーサネットフレームにおけるタイプと同等でこのIPパケットのペイロード部分に何が入っているのかを示しています。なお”Time to Live”については後述します(ルーターの役割で触れます)。
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