さて、前回トポロジーのところで触れましたが、現在のイーサネットはスイッチを経由してつながるスイッチ型トポロジーです。スイッチ(※4)とは複数のイーサネット接続を持ち、それぞれから送られてくるイーサネットフレームのMACアドレスを解析し、適切な相手に転送する機能を持っています。スイッチの持つ接続の口のことをポートと呼びます。なお、このようにMACアドレスを基にイーサネットフレーム(レイヤー2PDU)を振り分けるので、ここでのスイッチはレイヤー2スイッチ(※5)と呼ばれることもあります。各ポートにどのMACアドレスを持つノードがつながっているかを動的に学習していきます。また接続を静的に設定する機能を持つものもあります。
(※4)皆さまのオフィスにもあるイーサネットコネクター(RJ45)が複数接続できるようになっている装置です。
(※5)「スイッチングハブ」と呼ばれることもあります。なお、MACアドレスを見ることなく全てのポートに無条件にイーサネットフレームを転送するものを「リピータハブ」と呼びます。
とはいえ、立ち上がったばかりのスイッチは、どのポートにどのMACアドレスを持つノードがつながっているは、分かりません。そのため、次に示すようなイーサネットフレームのやりとりを通して、徐々に学習していきます。
この学習の結果により、スムーズなイーサネットフレームの転送が実現されているのですが、実はこれには弱点があります。それは、スイッチが扱うMACアドレステーブルに登録できる数が限られており、また一定時間がたつとMACアドレステーブルから登録が削除されるという(※6)点です。
(※6)継続的に通信を行っていれば削除されません。
図3-1と図3-2に示したような小さなネットワークであれば、全てを登録できるかもしれませんが、ネットワークにつながるスイッチが増えていけば、新たなMACアドレスを持つイーサネットフレームが増えますので、そのうちMACアドレステーブルに登録できなくなり、フラッディングによる無用なトラフィックが発生し、通信の効率が極端に低下してしまいます。つまり、スイッチだけで構成されたネットワークを無制限に大きくすることは現実的ではないということです。
VLAN(Virtual LAN)は、スイッチで構成されたネットワーク内に論理的な壁を立てるための仕組みです。ブロードキャストで送信されたフレームはVLANの範囲外には届けられません。トラフィック制御やセキュリティの観点で導入されることがあります。1つのスイッチだけでできているネットワークであればスイッチのポートにVLANを設定するだけで済みますが、スイッチをまたがるVLANの場合にはVLANタグを追加することで、そのイーサネットフレームがどのVLANに属するかを、受け取るスイッチに示します。VLANタグは通常スイッチが扱うので、各ノードでは気にすることはありません(図4-1、図4-2、図4-3参照)。
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