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» 2019年11月11日 10時00分 公開

メーカーなのに試作できない――「社内での作りづらさ」から開放する社外コミュニティーの存在DMM.make AKIBAを支えるプロフェッショナルたち(3)(2/2 ページ)

[越智岳人,MONOist]
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時間をかけないことには、コミュニティーは活性化しない

相談の用途ごとに担当者が誰か分かるよう掲示している 相談の用途ごとに担当者が誰か分かるよう掲示している[クリックで拡大]

 DMM.make AKIBAがカバーする製造業の場合、技術や業界が多岐にわたるため、単純にエンジニアや工場を紹介しただけでは全く機能しない。そこで間に立つ担当者が課題を綿密にヒアリングすることを心掛けている。

 「『本業に貢献する新しい取り組みを提案しないといけない』といったレベルの、漠然とした相談が来ることも少なくありません。課題を解決できる適切なスタッフや会員、企業を紹介できるよう、まずはわれわれがしっかりとお話を伺うことを心掛けています。そもそもマッチングの目的は『お見合いの場を作ること』ではなく、『双方がやりたいことを実現させること』です」(橋場氏)

 確度の高いマッチングを実現させるためには、相手を深く知ることが鉄則だ。そのためには相談に来た時に話を聞くだけでなく、日頃から会員の活動状況や開発の進捗(しんちょく)を可能な限り収集し、小さな相談事でも気軽に話せる関係を作ることが大切だという。

 「お互いのことを知る時間を地道に積み重ねることが重要です。日頃から雑談する中で性格や人間性も理解し、言いにくいような入り組んだ相談や課題を解決できるよう心掛けています」(平林氏)

モノづくりの変化に合わせて、コワーキングの在り方も変わる

 オープンから5年を迎え、入居当初は原理試作段階だったスタートアップも製品化にこぎつけたり、大型の資金調達を行ったりする事例も増えた。それに併せて開発や量産に関する相談だけでなく、組織のマネジメントや採用、投資に関する相談が増えてきているという。

 DMM.make AKIBAがオープンした2011年は「メイカーズ・ムーブメント」や「3Dプリンタ」というバズワードに載って、モノづくり分野におけるスタートアップが注目され始めた時期だった。そこから5年がたち、スタートアップが製品を量産するに当たってのハードルの高さが浮き彫りになり、量産を支援する企業や行政によるプロジェクトが増えつつある。

 また、自社だけでは生み出せない新規事業を外に求め、スタートアップとの協業に意欲的な企業も増えている。

 DMM.make AKIBAも常に時代の変化を伺いながら、必要とされることにチャレンジしてきたと、橋場氏はこれまでを振り返った。

 「良い製品を1秒でも早く出せるような支援をしたいというのは、オープン当初から変わっていません。2年目まではスタートアップを中心にサービスを組み立てていましたが、スタートアップとの関わりを深めたいという声に合わせて大企業向けのオープンイノベーション支援や、IoTプロダクトの開発をサポートするサービスも提供しています」(橋場氏)

 製造業とスタートアップ両方の文化を理解していることが、自分たちの強みだとした上で、両者に必要とされているものを提供できる場であり続けたいと両氏は考えている。

 DMM.make AKIBAでは、今後5年で300社のスタートアップを何かしらの形で支援するという。

 「DMM内にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ができたことで、投資にも対応できるようになりました。スタートアップの支援は1社ではなく、さまざまな企業が強みを生かして関わることで成功の精度も上がります。新しいことにチャレンジしたいと思う人は企業の規模に関係なく、秋葉原に来てほしいですね」(橋場氏) 【連載完】

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