コンタクタヘッドの自動組み立てラインでは、AR(拡張現実感)を活用した保全効率化に取り組んでいる。シュナイダーエレクトリックがソリューションとしても提供する「EcoStruxure Augmented Operator Advisor」を活用している。
これは、タブレットに映し出されたリアルタイムの映像やデータと仮想オブジェクトを、設備や機器に重ね合わせて映し出せるようにしたものだ。例えば、機器ごとにARのトリガーとなる画像や2次元バーコードを設定。現場でタブレットをかざしカメラの撮影映像に表示されたアイコンをタップするだけで、ユーザーマニュアルや指示書、図面などの数多くのデータを迅速に入手し、作業支援を受けられる。
「従来は機械の保全作業の中で、実際に作業を行っているのは50%だった。その他の50%が情報を探している時間で、この時間を何とかしたいと考えた」(シュナイダーエレクトリック)。ここで「EcoStruxure Augmented Operator Advisor」を活用することで情報を探す時間を大幅に削減することに成功した。同様の仕組みは他の自動化装置などにも導入しており、工場全体の機械メンテナンス時間を30%削減できたとしている。
リアルタイム情報を生かした改善活動なども活発化。工場内にはリアルタイムの生産状況をまとめたダッシュボードが表示されている大型ディスプレイが設置されており、オペレーターやチームリーダーが集まり、改善の話し合いが頻繁に行われるようになったという。従来はオペレーターが毎日Excelに記入しそれを基に改善アクションを考えていたため「どうしても改善のサイクルが遅くなっていた」(シュナイダーエレクトリック)。
しかし、データを収集しまとめる仕組みができたことで、情報収集のための負担を大幅に軽減。改善のアクションに集中することができ、改善サイクルを大幅に向上させることができたという。改善が進んだために大幅に不良数を削減することにも成功している。2017年は35万5000件あったが、2018年は23万6000件に削減。2019年は6月までの段階ではわずか3万5000件と大きく減らすことができているという。
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