世界経済フォーラムが2018年に発表した世界で最も先進的な工場の1つに選ばれた、シュナイダーエレクトリックのル・ヴォードライユ工場。世界最先端のスマート工場ではどのような取り組みが行われているのだろうか。同工場でのスマート工場化への取り組みを紹介する。
2018年9月、ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は1000以上の製造現場を調査し、第4次産業革命をリードする世界で最も先進的な9工場「Lighthouses(灯台)」を選定した。その1つが、フランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)のル・ヴォードライユ(Le Vaudreuil)工場である。
デジタルツールを活用することでメンテナンスコストを30%削減し、OEE(設備総合効率)を7%改善するなど、多くの成果を残す「第4次産業革命をリードする世界で最も先進的な工場」では、具体的にどのような取り組みが行われているのだろうか。興味深いのは日本のそれぞれの工場とそれほどアプローチが異なるわけではないという点である。ル・ヴォードライユ工場でのスマート工場化への取り組みを紹介する。
ル・ヴォードライユ工場は、フランス北部のノルマンディー地方に立地し、1975年に設立された歴史ある工場である。敷地面積は1万4200m2。従業員数は360人で、3交代制により製造を行っている。
同工場ではモーターコントローラーの「TeSys」シリーズや、産業用途やビル用途の電源自動切換装置(ATS)、コンタクター、インバーター製品である「ATVシリーズ」などの電気制御製品の製造を行っている。
金属加工、量産組み立て、カスタム品製造という一連の製造工程をそろえているのが特徴で、「TeSys」シリーズは1日約5万個、コンタクターは1日35万個の製造を行う。また、個別のカスタム対応が多いインバーターは、同工場内での部品製造と他工場での部品やソフトウェアなどを組み合わせて1日に350個の生産量だという。
毎日、2000種類のオーダーが入る多品種少量生産が求められる一方、部品供給は200の外部サプライヤーと15のグループ内サプライヤーから、7つの物流センターを通じて供給を受けるなど、サプライチェーンが複雑化している点が課題となっていたという。これらに加えて、工場のエネルギーコスト削減や、製品の品質改善などさまざまな課題を効率的に改善するためにスマート工場化への取り組みを進めたという。
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