ミツバは、「第46回東京モーターショー2019」において、樹脂製の中空成形品の革新的な生産性向上を実現する新工法「1ロータリー一体式120°旋回成形システム」の技術を紹介した。
ミツバは、「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、樹脂製の中空成形品の革新的な生産性向上を実現する新工法となる「1ロータリー一体式120°旋回成形システム」の技術を紹介した。
自動車用ランプ部品のような中空成形品を製造する場合、光源や回路基板などを組み込むハウジング部と、光源の光を効率よく投影するためのレンズ部を別々に射出成形し、それらを型抜きした後に、再度接着剤などを使った接合を行う必要がある。この場合、それぞれの成形部品を在庫として保管するとともに、型抜きによるダメージの有無を検品する必要がある。
新工法の1ロータリー一体式120°旋回成形システムは、1つのターンテーブル上に成形機(射出頭)を3台設置した一体成形機だ。金型の下型を、ターンテーブルを使って、3台の射出頭の位置に対応するように120度旋回で回転移動させることができる。この仕組みを利用して、ハウジング部の成形、レンズ部の成形、両部品を接合する二次射出を同時に行える。これによって、両部品の型抜きや、精度よく接合するための部品の面合わせといったプロセスを省けるだけでなく、在庫を抱える必要もなくなる。「さらに接着剤の光硬化では難しい複雑な形状の接合も可能なのでデザインの自由度も増し、軽量化にもつなげられる」(ミツバの説明員)という。
もともと同社は、同じコンセプトではあるものの、下型が直線方向にスライドする方式の工法を開発し運用してきた実績がある。「ただしこの場合、スライド時に何の役割も果たさない型が存在することになる。これをロータリー方式に変更することで、型を常に役立てることが可能になり生産性はほぼ2倍になった」(同説明員)。
また、装置の小型化も実現できている。スライド式では長さが10mあったが、これを3×2.7mに小型化。「専有面積を半減できたので、スペースに制約がある工場にも導入できるだろう」(同説明員)とする。
現在、ミツバ研究開発センター(群馬県桐生市)に試作機を設置しており、東京モーターショー2019での来場者からの評価を踏まえて、現地での実演会なども行いたい考え。「自動車用ランプ部品にとどまらない、さまざまな用途での活用を一緒に進められれば」(同説明員)としている。
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