その中で、特に興味深かったものが「引き算のデザイン」だ。「スマートフォンのディスプレイは大型化する傾向にあるため、シーンによっては持ち運びが煩わしくなり、通信が分断されてしまうことがある。通信を分断させないカタチとはどのようなものか? 追求して生まれたのが『カードケータイ KY-01L』だ」と宮沢氏は説明する。
近年、ディスプレイサイズの大型化の流れを受け、スマートフォンの端末サイズが肥大化している。動画やゲームなどのエンターテインメント、カメラ撮影や画像編集を行う際などは大画面が役に立つ。しかし、電話として見た場合、それがベストだとは言い切れない。ジョギングなどを行う際、大きなスマートフォンが邪魔に感じることがあるように、ライフスタイルやシーンによっては“違う選択肢”が求められるというわけだ。「通信を途切れさせないことは、通信キャリアとして外せない視点だ。多機能化が進んだ今、あえて機能を削ることで新しい価値が見いだせるのではないかと考えた。本当に必要な機能はどれなのか、見極めながら機能を削っていき、紙のように薄く、小さいことを目標に今のスタイルを作り上げた」(宮沢氏)。
ドコモとデザインは、博物館的に歴代のプロダクトをただ並べただけの展示会とは異なり、より上流のプロセス、つまりデザインを追求する姿勢やその過程をさまざまな視点から見ることができる。通信というサービスを提供する側として、ライフスタイルに根差したデザインの在り方とはどうあるべきかを常に模索し続けるNTTドコモの思いや姿勢が、カッターマットを模した展示スペースに凝縮されている。
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