NTTドコモは2019年10月18〜27日の期間、東京ミッドタウン ガレリア 地下1階のアトリウムで「ドコモとデザイン」をテーマに、プロダクトデザインに対する同社の姿勢や思いを伝える展示イベントを開催。未公開のアイデアスケッチや貴重なプロトタイプの数々を見ることができる。
NTTドコモが「ドコモとデザイン」をテーマに、プロダクトデザインに対する同社の姿勢や思いを伝える展示イベントを開催している。
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2019」の一環として、2019年10月18〜27日の期間、東京ミッドタウン ガレリア 地下1階のアトリウムで開催され、未公開のアイデアスケッチや貴重なプロトタイプの数々を見ることができる。展示の一部は実際に触れることも可能だ。
なぜ、通信キャリアであるNTTドコモがプロダクトデザインの展示を行うのか? 携帯電話やスマートフォンを製造するのは端末メーカーであり、通信キャリアには無関係のように感じる。しかし、「通信キャリアが自ら端末の企画を考え、プロトタイプを作り上げるのには意味がある。通信キャリアの使命は、より多く端末を販売するという端末メーカーが掲げる方向性とは異なり、幅広い層に自社サービスを活用してもらうことにある。そのためにはどのようなデザイン、どのようなコンセプトの端末がベストなのか、通信キャリアだからこそ考えられるプロダクトデザイン、“あるべき姿”というものが必ずある」と、NTTドコモ プロダクト部 デザインディレクターの宮沢哲氏は述べる。
実際、NTTドコモ社内から生まれたプロダクトのアイデアやリサーチ結果は、端末メーカーとのコミュニケーションにも活用され、日本市場に適したラインアップの拡充などに役立てられているという。
こうした取り組みは、ガラケー/フィーチャーフォンの時代から行われてきたことだが、今から10年ほど前にスマートフォンが発売されて以降、プロダクトデザインの在り方が大きく変化した。“カタチ”を軸としたデザインから“CMF(C:COLOR、M:MATERIAL、F:FINISHING)”を軸とするデザインへのシフトだ。スマートフォンは形状的に見れば板状のデバイスである。カタチそのもので個性や機能性を追求することはなかなか難しい。そこで重要視されるようになったのが、色、素材、触り心地だ。
その当時、宮沢氏を中心とするプロダクトチームが手掛けたプロジェクト(Five Materials Project)の目的が、CMFデザインの追求だ。質感や素材、そしてそれらの魅力を引き出すための形状など、いくつものバリエーションを試作し、アイデアを洗練させていった。「この一連のプロジェクトから得られた経験は非常に重要な意味を持ち、それがNTTドコモとしての判断基準となって後のデザインにもつながっている。このプロジェクトでは最終的にジルコニアでサンプルを作成し、その平滑感や触り心地から製品の魅力を感じてもらえるのではないかという気付きが得られた」と宮沢氏。
その導き出された解を、実際のプロダクトに落とし込んだものが、現在NTTドコモのオリジナルブランドとして展開されている「MONO」だ。MONOはNTTドコモが独自に企画したスマートフォンシリーズで、シンプルかつ高品質な作りが特長。ドコモとデザインの会場では「MONO MO-01K」(ZTE製)がいくつかのラフモックアップ、モックアップを経て、今のデザインに落とし込まれていった過程を見ることができる。
その他、ドコモとデザインの展示スペースには、時代とともにトレンドが変化する色彩、サイズ感を検討するために実際に使用されているモックアップの展示や、子供やシニア層といった特定使用者向けのデザイン検討、さらには「明日のためのデザイン」と題して初公開となる複数ディスプレイ搭載端末のモックアップなどが多数展示されている。
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