一方でEVの購入を検討する際に懸念される点については、調査開始当初から変わらず「価格が高い」ことだった。EV普及では走行距離の問題や、充電インフラの問題などが懸念事項として指摘されてきたが、「まずは価格を安く」というのが一般的な消費者の考えのようだ。
では、どれくらいの価格であれば購入対象に入るのだろうか。調査では「250万円未満」とした回答者が67%を占め、一般的なエンジン車と同等の価格設定を求める声が多かった。しかし一方で、高価格帯に対する許容度も高まっており「300~349万円」や「500万円以上」とした回答者の比率は年々増え続けている。
「先ほどのEVをステータスだとする動きと合わせて高価格帯への許容度は高まってきている。一般的なモデルではエンジン車と同水準にすることが求められる一方で、EV独自の価値を打ち出すことで価格引き上げにもつなげることができる。両面の動きを注視する必要がある」と濱田氏は考えを述べている。
EVの航続可能距離に対する期待については、少なくとも「320km以上」とした回答者の比率が80%以上を占めた。「640km以上」とした回答者層も32%を占め、年々拡大が進んでいる。「少なくともエンジン車並み、できればそれ以上の航続距離を求めたいとする期待感が強まっている」(濱田氏)。
EV活用におけるボトルネックともされている充電インフラ整備の状況だが「現在の急速充電器設置状況は許容できますか」とした質問に対し、許容度は25%前後と普及が進む前と比べてもほぼ変わっていない。
濱田氏は「急速充電器の普及は年々拡大している他、急速型以外の充電設備も加えると既に3万基近い設備が普及しているにもかかわらず、許容度に変化が見られないのは、認識やコミュニケーションの問題がある。正しい認識を広げるような取り組みが重要になる」と課題について語っている。
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