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航空機内装大手のジャムコに業務改善命令、不適切事象が新たに判明製造マネジメントニュース

ジャムコは2019年8月20日、航空機内装品・機器事業の認定事業所について国土交通省から業務改善命令を受けたと発表した。同社は2019年3月に、同事業において不適切検査があったことを明らかにしていた。今回の業務改善命令は、その後の社内調査で新たに判明した事象が対象となっている。

» 2019年08月20日 18時02分 公開
[松本貴志MONOist]

 ジャムコは2019年8月20日、航空機内装品・機器事業の認定事業所について国土交通省から業務改善命令を受けたと発表した。同社は2019年3月に、同事業において不適切検査があったことを明らかにしていた。今回の業務改善命令は、その後の社内調査で新たに判明した事象が対象となっている。

 業務改善命令の対象となった不適切事象は以下の通り。ギャレー(調理関連設備)やラバトリー(トイレ)などに用いられる部品や補修用部品が、不適切事象の対象となった。

  • 同社の外注部門が委託先担当者の印鑑を保有し、納品時のパーツタグに押印漏れや記載不備などがあった場合に代印を実施していた
  • 2015年8月24日から9月3日までの11日間、補修用部品の出荷前完成検査において検査員の訓練生1名が検査を実施していた

 これら不適切事象による安全性への影響は認められていないという。同社は「引き続き取引先への説明を行いつつ速やかな対応を実施する」とコメントした。また、現在も特別調査委員会による調査が実施されており、不適切事象の対象品数は「現時点ではお伝えできない」(同社広報)としている。

 再発防止策として、組織や管理体制の改善、全従業員へのコンプライアンス教育の実施、検査員の資格一時停止と再教育の実施、検査部門の増員、受入検査場の拡張と環境整備の実施などを行うという。

 現在、国土交通省航空局の認可に基づく業務は自粛中とし、「然るべき体制を整えたうえで再開をする予定」(同社)。一部製品の出荷に遅延が発生しており、同年第2四半期までは売上高減少など一時的な影響が見込む。一方で、注文の取り消しや大規模リコールに発展するような事案は認められていないため、通期業績予想の変更はしていない。

 航空機内装品市場で高いシェアを獲得している同社は、中大型機のグローバル市場においてギャレーで約40%、ラバトリーで約50%(どちらも同社調べ)のシェアを占める。また、同社はボーイング787型機の操縦室内装パネル、収納ボックス、操縦室の防弾ドアと周辺隔壁を独占供給している。

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