続いて、ティア1の開発における要求事項について、有本氏が関わるPCU開発を例に説明した。以下のスライドがPCUにおける要求事項であり、それが多岐にわたることを示した。
デザインや動力性能、価格、燃費など、さまざまな仕様は、小型/軽量化、低コスト化、高効率化といった製品要求事項にひも付く。さらに、そこに対して決められる複数の設計項目は、お互いが依存し合う関係にある。またそれらを網羅し、かつバランスよく設計していく必要がある。
そこで、ケーヒンのPCU設計では、CAEを活用し、構造、流体、電熱回路、電磁界、システムといったマルチドメイン(複合領域)シミュレーションに取り組んでいる。仕様定義と、3D CAEによる各コンポーネントレベルのシミュレーション、1D CAEと連携するマルチドメインシミュレーションが行き来して設計を進める形だ。マルチドメインシミュレーションでは、PCUモデルとプラントモデルとを連携させて設計を詰めていく。
このように、ケーヒンの製品開発における解析規模はどんどん膨れ上がり、複雑化する一方で、この課題を解消するには「CAEベンダーや大学などの研究機関、ティア1やティア2、OEMが垣根を超えて技術構築することが理想だ」と有本氏は述べる。
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