まず、経営者を引退することを決断した時点での、売上高や利益の傾向、資産状況について比較したい。図19は経営者引退決断前3年間の売上高の傾向を示したものだ。事業承継を選択した企業では増加又は横ばいと回答した経営者の割合が4分の3を超える一方、廃業した経営者の7割以上が、売上高が減少傾向にある中で、経営者引退を決断している。
経営者が引退を決断した時の営業利益の傾向について示したものが図20である。事業承継した経営者は、約3分の2が2期以上連続黒字の状況で経営者引退を決断している。一方、廃業した経営者は、約半数が2期以上連続赤字となった末に経営者引退を決断している。さらに、約半数は、直近2年間のうち少なくとも1年が黒字であったにもかかわらず経営者引退を決断していることが分かる。
さらに、経営者引退決断時の事業資産と負債の状況について見ると、廃業した経営者の約3割が負債超過の状況で、経営者引退を決断している(図21)。
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