日本電産は2019年8月1日、広州汽車グループの部品メーカー広汽零部件と駆動用モーターの合弁会社設立に向けた契約を締結したと発表した。同日に開催した取締役会で契約締結を決議した。本件のクロージングは、競争法当局による承認が得られることが条件となる。
日本電産は2019年8月1日、広州汽車グループの部品メーカー広汽零部件と駆動用モーターの合弁会社設立に向けた契約を締結したと発表した。同日に開催した取締役会で契約締結を決議した。本件のクロージングは、競争法当局による承認が得られることが条件となる。
日本電産は、車載モーターを重要事業の1つと位置付けている。2020年度に向けた中期戦略目標では同事業の売上高目標を7000億〜1兆円に設定し、事業を強化してきた。自動車メーカー各社が電動化戦略を推進していることもあり、駆動用モーターの市場は2030年に6兆円規模まで拡大すると見込んでいる。一方、広汽零部件はシートや内装部品、ボディー電装部品を手掛ける。親会社の広州汽車ブランドや日系自動車メーカーとの中国における合弁会社とも広く取引している。
新会社では、広州汽車が持つ完成車のノウハウと、日本電産が持つモーターや電装部品の技術を組み合わせて低コストで高効率な駆動用モーターを開発、生産、販売する。広州汽車以外の自動車メーカーにも販売していく。現地エンジニアの増強により開発体制を強化するとともに、広州汽車グループの購買力を生かして原価低減を図る。
新会社の社名は広州尼得科汽車駆動系統で、本社は中国広東省広州市に置く。設立は2019年9〜10月を予定している。資本金は6億人民元(約93億円)で、日本電産が51%、広汽零部件が49%を出資する。
日本電産は、電動化と自動運転への対応を強化し、ニーズの高まる製品を自社で手掛ける。自動運転向けの周辺監視用センサーはカメラやミリ波レーダーをラインアップに持ち、一体化したユニットを市場投入する。また、新構造の高周波アンテナを用いたミリ波レーダーも開発中だ。
駆動用モーター、EPS用モーター、ブレーキのエネルギー回生やABS対応で、「“走る曲がる止まる”のキーコンポーネントは全て持っている」(日本電産)と語る。EPS用モーターは自動操舵(そうだ)やステアバイワイヤシステムのアクチュエーターとして受注が拡大しており、機能安全対応も進めている。旧ホンダエレシスやオムロンオートモーティブエレクトロニクスを傘下に収めることにより、モーター制御ECUも自前で開発する。
駆動用モーターの開発で日本電産が注力するのは、モーターとギア、インバーターの一体化だ。モーターの巻き線を小さくする磁気回路設計にも強みを持つ。駆動用モーターのラインアップは出力60〜70kW、100kW、150kWの3種類をそろえ、超小型EVから四輪駆動のハイエンドモデルまで幅広くカバーする考えだ。
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