品質データ改ざん問題を解決? 製造業でのブロックチェーン技術の使い方モノづくり最前線レポート(1/2 ページ)

「スマートファクトリーJapan 2019」(2019年6月5〜7日、東京ビッグサイト青海展示棟)の講演に、ブロックチェーン推進協会 代表理事の平野洋一郎氏が登壇。「製造業におけるブロックチェーン適用と可能性」をテーマに、ブロックチェーン技術を製造業の業務プロセスにどのように組み込み、社会改革につなげるのかを訴えた。

» 2019年07月22日 11時00分 公開
[長町基MONOist]

 「スマートファクトリーJapan 2019」(2019年6月5〜7日、東京ビッグサイト青海展示棟)の講演に、ブロックチェーン推進協会 代表理事の平野洋一郎氏(アステリア 執行役員社長兼CEO)が登壇。「製造業におけるブロックチェーン適用と可能性」をテーマに、ブロックチェーン技術を製造業の業務プロセスにどのように組み込み、社会改革につなげるのかを訴えた。

ブロックチェーン技術は、製造業ではまだ火がつかない

 ブロックチェーンとは、ネットワーク内で発生した取引記録を1つの塊(ブロック)とし、時系列順でチェーンのようにつなぐ技術を指す。一定時間ごとに取引情報を暗号化してブロック(N)にする際、その情報を含んだハッシュ値を次のブロック(N+1)に格納するため、改ざんなどに強い点が特徴だとされている。

photo ブロックチェーン推進協会 代表理事の平野洋一郎氏

 平野氏はブロックチェーン技術について「もともとは仮想通貨を支える技術として世の中に広まった。仮想通貨の盗難事件が相次いでいることにより仮想通貨の信頼が落ち込み、それに合わせてブロックチェーン技術そのものへの評価も下がった」と現状を説明する。ただ、この状況に対して平野氏は「仮想通貨の盗難事件はあるものの、ブロックチェーン技術そのものに大きな問題があったわけではない。堅牢性、技術的信頼性などは引き続き高く、さまざまな利用方法が広がりを見せるだろう」とブロックチェーン技術の価値を強調した。

 さらに、ブロックチェーン技術の今後については「こうした状況でもさらに拡大する」と平野氏は語る。ブロックチェーン技術の市場規模は、2018年が全世界で15億ドルだったのに対し、2022年には117億ドルに拡大する見込みだという。国内でも2018年は49億円だったが、2022年には545億円と10倍以上の伸びが見込まれている。ブロックチェーンに投資する業種としては、2018年は金融が37%と最も大きな割合を占めた。続いて、流通・サービスが25%、そして製造・資源が22%となったという。

photo ブロックチェーン市場の支出額予測(クリックで拡大)出典:IDC Japan

 「ブロックチェーン推進協議会」は、ブロックチェーン技術の活用が進む金融業界以外の領域で、ブロックチェーン活用を推進することを目指した団体である。加盟企業数は270社(2018年1月15日時点)とブロックチェーン関連の団体では最大の規模を誇る。上場企業の割合も25%を占め、現在は技術系・IT系以外の会員の加入が増えているという。ただ、製造業については加盟社も少なく「ブロックチェーンへの興味がまだ高まっていないように見える」と平野氏は語る。

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