慶應義塾大学は、呼吸によって吸い込んだ空気中の異物を取り込む呼吸器M細胞が呼吸器疾患の病変部に存在することを確認した。また、機能を維持した呼吸器M細胞の培養に成功した。
慶應義塾大学は2019年6月13日、呼吸によって吸い込んだ空気中の異物を取り込む特殊な細胞を発見したと発表した。同大学薬学部 教授の長谷耕二氏らが、北海道大学と共同で明らかにした。
研究グループは、腸管の抗原取り込み機構に着目。腸管に存在するM細胞と呼ばれる上皮細胞が、呼吸器にも存在するどうかを調べた。その結果、マウスの気管および気管支にM細胞が存在し、呼吸器粘膜の異物を取り込むことを確認した。この呼吸器M細胞は、慢性閉塞性肺疾患モデルマウスなどの呼吸器疾患の病変部に存在することも分かった。
また、マウスの気道から上皮細胞を分離し、M細胞を作製できるかを検証した。マウスの気道から採取した上皮細胞をM細胞の分化を促進するサイトカインRANKL存在下で気相液相界面培養したところ、ナノ粒子をよく取り込む性質を持ち、M細胞マーカーを持つ細胞を得られた。これにより、機能を維持した呼吸器M細胞を試験管内で培養することに成功した。
呼吸器のアレルギーや感染において、抗原や微生物が生体に侵入する経路を明らかにしたことで、花粉症や呼吸器疾患の発症・悪化のメカニズム解明が期待される。今後は、アレルゲンの体内侵入機構と免疫、アレルギーとの関係、呼吸器感染症とM細胞の関係を明らかにしたいとしている。
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