機器側で推論アルゴリズムを実行するエッジAIについては、性能、そして開発環境についてもザイリンクスのソリューションに優位性があるという。コーナ氏は「特に、ISM分野で要求が厳しい低遅延性能が求められる条件では、ザイリンクスソリューションの優位性はさらに高まる」と強調する。例えば、低遅延が求められない場合、ザイリンクスソリューションのAI処理性能はGPUの2倍にとどまるが、ISM分野で一般的に要求される遅延時間7msの条件ではGPUの2.5倍になり、遅延時間2msまで行くとGPUの8倍になる。
2019年6月にエンジニアリングサンプルを出荷したVersalは、AIの活用という観点でザイリンクスソリューションをさらに拡充することになる。「2020年以降、エッジAIの用途でVersalの採用が始まっていくだろう」(コーナ氏)という。
この他、クラウドとの連携により、クラウドとエッジ、双方の特徴を生かしたシステムの開発を行えるような環境も整えている。先行してAWS(Amazon Web Services)の「AWS IoT」との連携を実現しており、「AWS Greengrass」や「Amazon FreeRTOS」などAWSがエッジデバイス向けに展開するソリューションをザイリンクス製品に実装できるようになっている。会見後には、ザイリンクスのZYNQ、ZYNQ Ultrascale+を搭載する開発ボードを使って、AWS IoTと連携するデモンストレーションも披露した。

ザイリンクス製品とAWS IoTの連携デモ。左側の名刺サイズの開発ボードが「ZYNQ Ultrascale+」を搭載する「Ultra96」で、右側にある開発ボードが「ZYNQ-7000」を搭載する「MicroZed」。Ultra96にはLinuxと「AWS Greengrass」が、MicroZedには「Amazon FreeRTOS」が組み込まれている(左)。MicroZedは温度センサーを装着しており、そのデータは随時クラウドにアップロードされている(右)。またUltra96のFPGA回路は、エッジAIとして2人分の顔認識が行えるアルゴリズムが組み込んでおり、Ultra96に接続したカメラのデータをUltra96上で分析している。必要があれば、カメラのデータをクラウド上に上げて、より詳細な顔認識にかけることも可能だ(クリックで拡大)
組み込みAIは必要不可欠な技術へ、推論に加えて学習も視野に
FPGAの特徴とは? 他デバイスと比較してみよう
FPGAの力を引き出す3種の開発ツールとは
ザイリンクスが7nmプロセスの新製品「ACAP」を投入、AI処理性能は20倍以上に
ベンツの新型車は組み込みAIを採用、ザイリンクスとの共同開発で
ADASや自動運転で躍進、ザイリンクスが訴える「柔軟性」と「拡張性」の価値Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発の記事ランキング
コーナーリンク