ここで、ファブラボに設置されている代表的な機材を紹介します(ファブラボ推奨機材より)。
レーザー光を用い、対象物を焼き切ったり、焼き焦がしたりして彫刻表現をします。加工できる素材は、紙、布、木材、アクリルなどです。ファブラボの機材の中で、最も利用率の高い機材です。一般的な直線や曲線加工だけでなく、細かい操作ができるため、精巧な紙細工などの職人的表現ができるのが特徴です。
ファブラボに備えられているのは、熱溶解積層式と呼ばれる3Dプリンタであることがほとんどです。ごく一般的な3Dプリンタであり、フィラメントと呼ばれる、リールに巻かれた1.75mm径の樹脂を溶かしながら、1層ずつ積上げていき立体物を造形します。樹脂素材は、大きくABS素材とPLA素材に分類されます。特に後者は、「生分解性プラスチック」と呼ばれ、環境を考慮した素材が原料となっています。またこの他に、光造形式印刷機や、インクジェット式印刷機などの種類があり、機材として所有するファブラボがいくつかあります。
ビットと呼ばれるドリル刃を高速回転させながら、材料の切削加工を行う機械です。コンピュータで作られたデータ通りに材料を立体的に切削できます。3Dプリンタが「加算加工」と表現されるのに対し、切削は「減算加工」といわれます。
はんだごてや測定器など、電子制御パーツを製作する際に必要となる機材類です。近年プログラミング教育で注目を集める分野でもありますが、現代のモノづくりをする上で、こうした機材は必要不可欠です。
コンピュータで作ったデータの通りにミシンが自動制御され、刺しゅうを縫い上げます。一般的なミシンとしての利用もできる機械です。ファブラボでは「実験的」に機材利用することも多く、例えば導電糸(電気を通す糸)を縫い、やわらかい電子回路を作るようなプロジェクトもあります。
その他、数種類の工作機材を合わせて「ファブラボ標準機材」と呼んでいます。
ファブラボのいわゆる工房スタッフは「ファブマスター」と呼ばれており、こうした機材を自在に横断しながら、製作の最適解を導き出せる能力を有しています。ちなみに、このポジションを世界的には「グル」と呼んでいますが、日本国内では悪いイメージが先行するため「マスター」としています。また、マスターにはユーザー同士をつないだり、組織の外の方々と自分たちのラボをつないだりする、コミュニケーション能力が強く求められます。「作るスキル」と「つなぐスキル」の2つを持って、初めてファブマスターといえるのです。
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