ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2019年6月18日、東京都内で記者説明会を開き、車載向けのセンシングソリューションのラインアップを発表した。
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2019年6月18日、東京都内で記者説明会を開き、車載向けのセンシングソリューションのラインアップを発表した。車内モニタリング用のカメラモジュールの他、車載用イメージセンサーの「Hayabusaファミリー」、79GHz帯のレーダー向けミリ波IC、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)向けのSPAD(シングルフォトン・アバランシェダイオード、Single Photon Avalanche Diode)を披露した。
オン・セミコンダクター バイスプレジデント ワールドワイドオートモーティブストラテジー&ビジネスディベロップメントのジョセフ・ノタロ氏は、電動化と自動運転化の両方の進展によって、車両1台に使用する半導体のコストが3倍以上に増加する見通しを示した。2018年はレベル2の自動運転システムと電気自動車の組み合わせで580米ドルだったが、自動運転システムがレベル4に進化する2022年には1760米ドルに急拡大するという。
このうち、伸びしろが特に大きいのは自動運転システム関連で、2018年の150米ドルから2022年に1000米ドルに増える。周辺監視用のセンサーとしてLiDARが加わることや、複数のセンサーを統合処理するセンサーフュージョンの需要が高まることが要因だ。オン・セミコンダクターは、62%のシェアを持つ車載イメージセンサーを始め、ミリ波レーダーやLiDARに向けたセンシング技術を包括的にそろえ、自動運転システムの進化と普及に対応する。
記者説明会では4つのセンシングソリューションを披露した。1つ目はドライバーモニタリング用のカメラモジュールだ。小型で表面実装が可能なセンサーとレンズで構成されている。3Mのフィルム技術と組み合わせることによりカメラのレンズを目立たなくさせることも可能で、設置の自由度を高める。「自動車事故の94%はドライバーが要因となっており、車内モニタリングの重要性が高まっている。この製品で普及につなげたい」(オン・セミコンダクター バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ インテリジェントセンシンググループ オートモーティブセンシングディビジョンのロス・ジャトウ氏)
イメージセンサーでは、LEDを撮影した映像に特有のちらつき(LEDフリッカー)や、物体の移動によって発生したノイズ(モーションアーチファクト)の処理を強化する。製品としては130万〜460万画素をカバーするHayabusaファミリーを投入予定で、ファミリーでは初めて「AR0233」が量産段階に入った。競合他社のイメージセンサーと比較して、低照度での性能やハイダイナミックレンジ(HDR)、LEDフリッカーの抑制やS/N比(信号対雑音比)の小ささといった項目をバランスよく満たす総合性能が強みだとしている。スーパーエクスポージャーという特殊な露光方式でLEDフリッカー低減を実現している。
Hayabusaファミリーに加えて、歩行者や自転車の高精度なセンシングが求められる自動運転システム向けに、830万画素のイメージセンサー「AR0820」の採用が決まっており、1200万画素のイメージセンサーも開発を進めていることを明らかにした。
「イメージセンサーの性能をいくら向上しても、光がない場所でのセンシングは難しい」(ジャトウ氏)とし、レーダーも強化している。79GHz帯向けの「NR4401」は同社としてミリ波IC第1弾の製品となる。従来よりも改善したMIMO技術「MIMO+」の採用によってレーダーの解像度を2〜3倍に引き上げる。MIMO+のもう1つの特徴は、1つのレーダーで短距離と中距離に対応可能である点だ。従来の解像度を維持しながら小型化することも可能になる。
オン・セミコンダクターは、センサーだけでなく、パワーソリューションやレーザードライバ、アンプもそろえており、「LiDARの完成品は作らないが、かなりの部分を提供できる」(ジャトウ氏)。LiDARの心臓部向けには、シリコン光電子増倍素子(Silicon Photomultipliers:SiPM)とSPADという2つのソリューションを用意している。
SPADアレイ「Pandion」はイメージセンサーのような2次元構造になっている。ToF(Time of Flight)方式で対象物の形状と対象物までの距離を検出できる。フラッシュライダーとして使うことが可能だ。可動部品をなくしながら視野角を広げ、LiDARのコストを下げることができる。
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