ダイハツ工業は2019年6月6日、新世代のクルマづくり「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」に基づいて開発した新技術を発表した。「一括企画開発」によって、エンジンやCVT、足回り、アンダーボディー、シートを対象に、軽自動車から小型車までカバーすることを前提に設計思想を共通化した。また、電子プラットフォームを一新し、先進運転支援システム(ADAS)「スマートアシスト」の機能を拡充する。
ダイハツ工業は2019年6月6日、新世代のクルマづくり「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」に基づいて開発した新技術を発表した。「一括企画開発」によって、エンジンやCVT、足回り、アンダーボディー、シートを対象に、軽自動車から小型車までカバーすることを前提に設計思想を共通化した。また、電子プラットフォームを一新し、先進運転支援システム(ADAS)「スマートアシスト」の機能を拡充する。
DNGAの新技術は2019年7月に発売する「タント」の新モデルから採用し、2019年内にDNGA採用第2弾となるモデルも投入する。今後、全ての新型車にDNGAの新技術を採用する。
一括企画開発の効果により、新型車の投入ペースは従来の1.5倍に早める。また、2025年までにボディータイプ15種類、21車種を展開する。部品の共用化率は75%以上に高める。2025年の生産台数は2018年の175万台から約4割増となる250万台に増やす。
多岐にわたるDNGAの新技術を前後編に分けて紹介する。
従来、ダイハツ工業は日本向けに開発した商品や技術を新興国に展開していた。そのため、技術展開にはタイムラグがあり、競争が激化する新興国市場へのスピーディーな商品展開も困難だった。
これを踏まえ、DNGAでは、コネクテッド化や自動運転、シェアリング、電動化を見据えた技術要素を織り込むこと、軽自動車から新興国向け小型車まで技術をスピーディーに展開すること、ダイハツ工業らしい品質と基本性能の全てを同時に実現することが目標となった。“小は大を兼ねる”という考えに基づき、諸元の条件が厳しい軽自動車で性能目標とコストを達成した上で、AセグメントやBセグメントまで設計を共通化した。
コネクテッド化や自動運転、シェアリング、電動化に関する技術要素を織り込むに当たっては、電動化を見据えたエンジンコンパートメントの諸元設定とした他、電子プラットフォームを刷新した。電子プラットフォームは、2006年に導入して以降、2010年、2014年に切り替えており、DNGAが4世代目となる。電子デバイスやECU(電子制御ユニット)の増加を反映するとともに、将来の無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)やコネクテッドサービスを踏まえたものとした。
スマートアシストの機能拡充も、電子プラットフォームの切り替えによって実現した。前方監視用のセンサーとしてステレオカメラの特性をフル活用することも貢献する。これまでのスマートアシストではシステムが車両の制御に介入するのは自動ブレーキやエンジン出力抑制による誤発進抑制に限られていた。また、車線を逸脱しそうな場合はアシスト制御は入らず、ドライバーへの警告にとどまっていた。これに対し、DNGAのスマートアシストでは、複数のECUが連携してシステムが制御に介入する機能が増える。
例えば、先行車に追従した停止まで制御する全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールや、カメラで駐車スペースの白線を検知してステアリング操作をアシストする駐車支援、車線の中央を走行するためのレーンキープコントロール、車線をはみ出しそうになった時に車線内に戻すようステアリング操作を支援する車線逸脱抑制制御機能などがある。
ステアリング操作のアシストが機能に加わることで、パワーステアリングの出力が従来以上に求められるが、高出力のパワーステアリングに置き換えて解決することはコスト面で難しい。「コストと機能のバランスに難しさがあった」(ダイハツ工業の説明員)。
誤発進抑制機能は、エンジンの出力抑制に加えてブレーキ制御も行い、急発進を防ぐ。ヘッドランプはこれまではハイビームとロービームの自動切換えだったが、ハイビームで走行中に対向車に当たる部分を部分的に消灯する機能や、夜間の右左折時にステアリングを切った方向に補助灯を追加点灯させる機能を持たせる。
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