古河電工グループは「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、古河ASが開発する準ミリ波帯車載レーダーの次世代機プロトタイプを初めて公開した。同レーダーは従来製品から検知性能を大きく伸ばすとともに40%の小型化を両立したことが特徴だ。
古河電工グループは「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、古河ASが開発する準ミリ波帯車載レーダーの次世代機プロトタイプを初めて公開した。同レーダーは従来製品から検知性能を大きく伸ばすとともに40%の小型化を両立したことが特徴だ。
古河ASは車両の周辺監視センサーとして、パルス方式を採用した「24GHz周辺監視レーダ」の提案活動を進めている。車載レーダーはFMCW(周波数変調連続波)方式が一般的に用いられているが、同方式は検知ターゲットの近傍で電波の強反射物があった場合にターゲットの分離性能が低下してしまうデメリットがある。
一方で、パルス方式は距離と相対速度を時間軸と周波数軸の2軸で検知するため、近傍にある電波反射物の影響を受けにくく、複数のターゲットに対して個別に距離や相対速度を検知することが可能だ。同レーダーでは準ミリ波である24GHz帯を利用しており、77GHz帯などを利用するミリ波レーダーと比較して、バンパー内設置の許容など搭載性に優れるとともに降雨時などの測定性能低下が抑えられるというメリットがある。
「24GHz周辺監視レーダ」の第一世代製品は、2016年11月からマツダ「CX-5」の後側方監視レーダーとして採用されるなど実績を重ねている。今回プロトタイプが展示された次世代機では、ミリ波レーダーに対して準ミリ波レーダーが劣るとされる最大検知距離などの性能を大きく改善させており、特に速度分解能では従来製品から4倍以上の向上を果たした。
同社ブースでは交差点右折時における歩行者検知の実験結果を動画で紹介し、良好な分離性能をアピールしていた。また、もともと優れていた極近傍の検出能力もさらに高めており、「ソナー代用できるレベルを狙い開発を進めている」(同社担当者)と自信を見せている。
次世代製品は2021年頃の量産車採用を目指し、「OEM(自動車メーカー)に合わせてさらに早めることも可能だ」(同社担当者)としている。同社は今後提案活動を進め、2025年度の同製品売上高で200億円を計画している。
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